【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 もちろんいるのでしょうが、“テレビに出るような名医”は出にくいと思います。

 医療の基本は「病気を治療することで人々を幸福に導く」ことにあります。そして多くの難病を治し、救われた患者さんが幸福を感じた時、医師は名医と呼ばれます。しかし、精神科の領域に限っては、“治療”と“幸福”が別モノで扱われているのが問題です。

 精神科医が使う薬の中には、患者さんのネガティブな気持ちをやわらげる抗うつ薬や抗不安薬があります。患者さんが精神科治療で“幸福を感じた”場合、それは医者の技量ではなく、単に薬によって幸福を“感じさせられた”だけかもしれません。つまり、薬を出すだけでは、精神科医は名医とは言えないのです。

 私見ですが、精神科の治療には「社会復帰」や「社会的機能を果たす」というゴールを設定すると良いと思います。薬を使う、使わない、にかかわらず患者さんが社会に貢献し、周囲にプラスの影響を及ぼすようになれた時、その治療医は名医に該当するんじゃないかと思います。

☆よしだ・しん=総合診療科医を経て、現在は精神科医。非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。2009年にはラジオパーソナリティーを務めた。