お世話になっております、東京スポーツの〝ぼっち記者〟です。普段はユニークなカフェ「謎喫茶」を訪問して記事を書いています。

 東京ゲームショウの取材記事も今回が最終回。後編ではゲームに関する新たな試みや、ゲーム業界外との連携について紹介させていただきます!

 まずは、「RAZBAM JAPAN」さん。精密なフライトシミュレーター用のソフトウェアを製作されているメーカーさんの日本事業所です。今回のゲームショウでは、ゲーム用のシミュレーター機器と、軍事訓練にも利用できる本格的なシミュレーターを2ブースにわたって紹介していました。

 このように書くと、ゲーム用はシンプルに作っているかのように想像されるかもしれませんが、侮ってはいけません。なんとコックピット一式で50~60万するんです。各ハード機器を購入しようにも2~6万円するといいますから、メーカーの本気度が分かります。ちなみに、軍の訓練にも使えるタイプの製品は1式2000万円。私の知っているゲームの範疇を超えていました…。

ゲーム用シミュレーターはコクピット内のボタンまで再現
ゲーム用シミュレーターはコクピット内のボタンまで再現
こちらは本格的な軍事シミュレーター
こちらは本格的な軍事シミュレーター

 これだけお値段も本格的なシミュレーターで遊んでいる方は少ないのでは?と質問したところ、なんと今回の機器で遊べるゲームを楽しんでいるアクティブユーザーの方が、3000人を超えているそう。さらに同ゲーム内で宇宙船やヘリコプターを操縦することもできるといいます。再現性や没入感は〝間違いない〟製品ですし、ミリタリーオタクの方はぜひ一度奮発して購入してみてはいかがでしょうか?

 自治体や企業との連携という意味では、「フォーラムエイト」さんの取材でもいろいろと教えていただきました。もともとは土木の設計ソフトから事業を始めたというフォーラムエイトさんは、2000年からVRを用いたシミュレーションサービスを提供しています。

 具体的にはまず町並みをVR空間で再現した上で、今後建設予定の道路や橋、ビルが完成した場合、どのような影響が起こるのかということを計算するのだとか。バーチャル空間に太陽も投影できるので、高層ビルが建設されても周辺地域の日照時間が確保されるのか、といったシミュレーションも可能です。確かに建築業者側に「問題ない」と繰り返されるよりも、VRを交えて視覚的に説明してもらった方が周辺住民も納得できそうですね。

太陽光シミュレーション画面。光の当たり方も再現できます
太陽光シミュレーション画面。光の当たり方も再現できます

 さらに現在はモデリング技術が、自動運転の実験にも利用されているのだそう。事故を予防する自動運転システムのテストにも、VRの技術が使われているといいます。確かに死角から飛び出す役を実際の人間が担当して、停止できなかったら大問題なわけで…。危ないけれどどこかでやらないといけないテスト・実験が、バーチャルな世界に進出していくというのは自然な流れなのでしょう。

 ちなみに取材に徹していた私ですが、こちらのブースでVR曲芸飛行を体験させていただきました。ゴーグルの映像に合わせて、座席ごと回転した瞬間には思わず声を上げてしまいました。画面上のリアリティーが高まっているからこそ、視覚以外の感覚にどう訴えかけるかということも、これからは重要になりそうです。

VR曲芸飛行を楽しむ記者
VR曲芸飛行を楽しむ記者

 さて、今回の取材の最後では、変わった形でゲーム業界を支える方々をご紹介します。

 まずは不動産業者の「リブランマインド」さん。ゲーマー向けの〝ゲーミングマンション〟こと、「MUSISION+」を展開しています。

「MUSISION」という名前からも想像できる通り、もともちはミュージシャン向けのマンションを展開していたそう。部屋と部屋の間に遮音のための何もない空間をはさみながら建設した結果、500ヘルツの音を、85デシベルぶん削減できるようになったといいます。この防音性に加えて、高速インターネット回線を完備した物件こそ、ゲーマーにとっては夢のような存在、〝ゲーミングマンション〟なのです。

モデルルームの内部
モデルルームの内部

 ちなみに防音の目安としては、大音量の歌声が、隣の部屋には木の葉がこすれ合う音程度の大きさにしか聞こえないレベルとのこと。「身バレ」が気になってしまう配信者の方にとってはピッタリの環境です。オートロックや防犯カメラ等の設備も揃っているとのことで、セキュリティー面でも安心感がありますね。

 現在は各物件への入居希望者を合わせると、4000人強が待機しているといいます。そのため新たに建設も続けているそうですが、実は地主さんにとっても優しい側面が。十分すぎる防音壁に加えて二重ガラスも完備しているため、線路横や大きな道路沿いでも問題なく建てられるのです。普通のマンションには向かない土地でも有効利用できるという点と、需要が高まり続けている点を考えても、まだまだゲーマーに優しい部屋は増えていきそうですね…! 

「ゲーミングマンション」という言葉は初耳でした
「ゲーミングマンション」という言葉は初耳でした

 そして最後に紹介させていただくのが「横須賀市」です。どうしてもスカジャンと海軍カレーのイメージが強い市ですが、2019年からはゲーム、それもeスポーツに力を入れていると教えてもらいました。

 現在eスポーツのプロ選手として世界で活動されている方々は、10~20代が中心。そのため横須賀市内の高校のうち、プロジェクトに手を挙げた10校にゲーミングPCを貸し出し、若きプロゲーマーを高校で育成しています。各校で「eスポーツ部」が誕生し、私立高校では情報室にゲーミングチェアが完備されているというのだから驚きです。

横須賀市の高校では「eスポーツ部」が続々誕生している
横須賀市の高校では「eスポーツ部」が続々誕生している

 対象年齢の問題もあるため、現在は全世界で人気を集めるFPS『VALORANT(ヴァロラント)』の選手育成を強化中。全国の高校生を対象とした大会も市で実施しているということで、非常に熱意を感じますね。協賛企業が増えていたり、卒業後プロゲーマーになる生徒が誕生したりと、横須賀市は着実に「ゲームの町」として進化しているようです。

高校生を対象とした大会も開催
高校生を対象とした大会も開催

 市としては今後「eスポーツの聖地」になることを目指しているそう。担当者の方はゲームに関するビジネスを誘致し、町の魅力をアップさせたいと意気込まれていました。

 加えて学校側としても、生徒を募集する上でのアピールに加えて、今までの部活動では輝けなかった生徒に光を当てたいという思いがあるといいます。スポーツは苦手だけれど、eスポーツなら得意という子供たちに活躍の場が与えられるなら、高性能PCも決して高い買い物ではないのかもしれません。

横須賀市のブースではスカジャンの試着もできました
横須賀市のブースではスカジャンの試着もできました

 今回は3回に分けて「ゲームショウのゲームだけではない部分」を紹介させていただきました。世の中にはゲームを裏で支える方も、ゲームを活用して新たな挑戦に取り組んでいる方も多くいらっしゃるということがお伝えできていれば何よりです。一記者としましても、今後もゲームについて少し異なる角度から紹介させていただきますので、何卒よろしくお願いします…!