お世話になっております。以前ユニークなカフェ「謎喫茶」を紹介しておりました〝ぼっち記者〟です。

 私は先日、4日間にわたって開催された「東京ゲームショウ2023」を取材しました(もちろん1人です)。現地を歩き回ったからには華々しい最新作をご紹介…!としたいところではありますが、弊社はゲームメディアではなくあくまでもスポーツ新聞。異業種からの参戦や、ゲームを支える新たな方向性の出展、VR等の最新技術を使った試みといった、「ゲームだけじゃないゲームショウ」という側面を、これから3回にわたって紹介させていただきます。

 まず私が訪れたのは、「岐阜プラスチック工業」のブースでした。普段は建築資材や物流に使うボックス等、プラスチック製品全般を製造する企業ですが、今回の東京ゲームショウでは〝防音ブース〟を展示されているとのこと。早速〝異業種感〟が漂っていますね…!

予想以上に広々とした防音ブース
予想以上に広々とした防音ブース

 何でも企業の代表的な製品であるハニカム構造のパネルに等間隔に穴を開けていくと、高い吸音性が生まれたのだとか。全く理系の発想ではありませんが、ハチの巣も静かだったりするのだろうか…と空想したのはここだけの話です。

 これまでもこの技術を生かし、工場の騒音対策を直近の5年間で4000件以上行ってきたという岐阜プラスチック工業さんですが、楽器やゲームをたしなむ個人の方から「防音室を作ってほしい」という問い合わせが続出。そこで今回防音ブースの開発に至ったそうです。

 ハニカム構造のプラスチックにフエルト系吸音材を貼り合わせて作った防音ブースは、購入者が1人で組み立てられるのもウリの1つ。3つのサイズを展開しており、最も大きな商品でも40分で組み立てられるというから驚きです。実際に入ってみると広さも十分。展覧会特有の、大音量の音楽やBGMもかなりシャットアウトされていました。

1人用のコンパクトな防音ブースもあります
1人用のコンパクトな防音ブースもあります

 今までBtoBの事業が中心だったこともあり、どんな大きさにすればパソコンが入るか等、様々な部分で模索が続いていたとのこと。現在はクラウドファンディングで先行販売されているので、これからさらに注目が集まることでしょう…!

出展エリアには「本気で作った」の文字が
出展エリアには「本気で作った」の文字が

 続いてはベンチャー企業「Gatebox」のブースへ。

 こちらではスマートフォンにキャラクターを投影し、かわいい箱にカッチリはめ込むことで、フィギュアのように卓上で楽しめるという商品『デジタルフィギュアボックス』が展示されていました。

「VRM」というフォーマットのアバターであれば、どんなキャラクターでも映し出すことが可能なこちらの商品。今回のゲームショウに出展する上で、現場の商品に投影してほしいキャラクターを公募したところ、300人近い方からデータが集まったといいます。中には、Vtuberとして活動している方から、普段使っているアバターが投稿されたということも。自分で文章を書いていても理解が追い付きませんが、とにかく未来を感じます…。

出展ブースでは多種多様なアバターが紹介されていました
出展ブースでは多種多様なアバターが紹介されていました

 現実世界のフィギュアと違い、データを投影しているだけなので、キャラクターをズームしたり、陰影をつけたりするのも自由自在。さらに自分で登録すれば、アバターにどんなポーズでも取らせることができます。

 オリジナルキャラクター、『逢妻(あずま)ヒカリ』を搭載したバージョンの製品は、話題の生成AI「ChatGPT」を使用。こちらの呼びかけに応じて会話したり、ピースサインを披露してくれたりしました。これからは、当たり前のように〝推し〟に話しかける時代がやってくるのかもしれませんね。

ボックスの中では逢妻ヒカリちゃんが愛嬌を振りまきます
ボックスの中では逢妻ヒカリちゃんが愛嬌を振りまきます

 一方、ゲームショウには大手出版社も。講談社はインディーゲームの制作者を支援するプロジェクト「ゲームクリエイターズラボ」のブースを出展しました。

 そもそもなぜ出版社がゲームを?とも思われるかもしれませんが、担当者の片山さんいわく、今は1人でもゲームを制作できる時代。その結果、個人で独創性を発揮するクリエイターが増え、講談社が培ってきた編集者として作家をサポートするスキルが生かせることに気付いたそうです。

 1つのゲームに対して年間最大1000万円の予算が付けられるという制度も異色に感じますが、週刊の漫画誌で1年間連載した原稿料の合計とほぼ同額とのこと。そのように聞くと、あまり極端な設定でもないと分かります。

 さらに漫画との共通点として、常時〝持ち込み〟を募集していることもプロジェクトの特徴の1つ。誰にも頼らず突き進んでいたけれど、伴走相手となる存在が欲しいと感じたクリエイターの方には、ぜひこの制度を頼ってほしいとアピールされていました。

今年8月に発売した『違う冬のぼくら』は累計12万本を突破
今年8月に発売した『違う冬のぼくら』は累計12万本を突破

ちなみに一サブカルファンの私としては書籍化・漫画化等のメディアミックスも気になるところですが、もちろん社としても目指しているとのこと。自分の作ったゲームが将来的に『マガジン』の表紙を飾ったら…なんて想像すると夢が広がりますね…! いずれビッグになるタイトルをインディー時代から遊んでいたら、それこそ地元の知り合いのような目線で応援してしまうかもしれません。

 以上、つらつらと紹介させていただきましたが、今回はまだ〝前編〟。これからもさらにユニークなブースを紹介させていただきます…!