男性の額の生え際や頭頂部の髪が薄くなる進行性の脱毛症をAGA(男性型脱毛症)という。早い人で20代から自覚症状があるそうだが、頭皮でなにが起こっているのか。毛髪移植と脱毛症診療を専門にする許涼會先生に話を聞いた。

 ――AGA(男性型脱毛症)とは

 許先生(以下、許)徐々に時間をかけて、薄毛になり脱毛が進んでいく病気です。髪の毛には生えて伸びる成長期、毛の成長が止まり抜けるまでの退行期、抜け落ちて毛が生えてくるまでの休止期というサイクルがあります。元気なサイクルだと、2~6年ほど髪の成長期は続きます。しかし、AGAだと、数か月~1年と成長期が極端に短縮され、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまいます。

 ――原因について教えてください

 許 主な原因としては、DHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンと遺伝的な要因が関係しています。DHTは男性ホルモンであるテストステロンから変換されてできるホルモン。このホルモンが毛根の細胞に存在する受容体に結合することで、毛周期が乱れ、髪の毛が十分に育つ前に抜けやすくなります。

 ――DHTが多いと脱毛症になる?

 許 必ずしもそういうわけではないです。DHTが受容体にどれくらい結合するかというところが重要です。その受容体の感受性が強いか否かは遺伝的なものです。これに、環境要因も加わります。つまり、DHT、受容体の感受性、環境などが複雑に影響し合い、男性型脱毛症が起こります。

 ――環境要因もあるんですね

 許 遺伝的要因に比べると影響はとても小さいですが、無視できない要素です。例えばストレスはホルモンや毛周期に影響します。ストレスによってまだ成長できるはずの髪の毛が早く退行期や休止期に入り、抜け毛につながることもある。こうした毛周期の乱れがAGAと重なると、症状が強く出ることもあります。

 ――AGAの症状について、特徴的なものはありますか

 許 いきなり何百本も1日で抜けるようなことは、めったに起こりません。もし急激に大量に抜けるようであれば、別の脱毛症の可能性も。男性型脱毛症は、生え際や頭頂部などDHTの影響を受けやすい特定の部位を中心に進行するため、M字やO字型のはっきりとした形を形成します。逆に、後頭部や側頭部は比較的影響を受けにくい部位です。

 ――加齢による毛量の変化との違いは

 許 加齢だと後頭部も含めて全体的に髪が細くなっていく傾向があります。つまり、全体的な変化か、部位特異的な変化かという点が大きな違いです。