冬になると、トイレが近くなるなど排尿の悩みがある人も増える。特に50代以降の男性にとっては、その原因が前立腺肥大症にあるかもしれない。いったい前立腺肥大症とはどういう病気なのか、泌尿器科医の村山慎一郎先生に話を聞いた。

 ――前立腺肥大症とは

 村山医師(以下、村山)前立腺とは、男性の膀胱のすぐ下にある、くるみぐらいの大きさの臓器です。この前立腺は、年を重ねると主に男性ホルモンの働きによって、大きくなっていきます。この変化を前立腺肥大症といいます。

 ――男性にとっては、とても身近な病気だといえそうですね

 村山 そうですね。40代後半~50代で、1~2割くらいの方の前立腺が肥大し始めます。そして、70代以上では、8割以上の方が肥大してきます。ただ、大きくなってきただけで、具体的な自覚症状がない人もいます。そういう人は放置しておいて問題ありません。

 ――具体的にどのような症状が出るのでしょうか

 村山 排尿障害です。尿の勢いが悪い、頻尿、残尿感、尿意切迫感などの症状です。尿意切迫感とは、尿意を感じると我慢ができなくなる状態ですね。前立腺は、尿道を取り囲むように存在している臓器です。肥大することで、尿道が圧迫され、尿道が狭くなる。その結果、スムーズに尿を排出できなくなり、様々な症状が現れます。

 ――何科を受診するといいですか

 村山 泌尿器科がおすすめです。昔に比べておしっこの勢いが悪いとか、おしっこが出にくい、夜中に2回も3回もトイレに起きてしまうなどの悩みがあれば、ぜひいらしてください。前立腺肥大症をチェックすると同時に、前立腺がんの検査も行うといいですよ。

 ――前立腺肥大症の疑いがあれば、どういう検査が行われるんですか

 村山 尿の勢いや残尿のチェック、前立腺の大きさを調べるために、超音波やCT、触診などを行い、問診と併せて総合的に判断します。ちなみに、前立腺がんだと血液検査で行える、PSAという腫瘍マーカーによる検査があり、スクリーニング検査として広く使われています。

 ――前立腺肥大症と前立腺がんは、直接的な関係はある?

 村山 実はないんですよ。前立腺がんと前立腺肥大症は、同じ前立腺の中でも、発生する場所が少し違う。ただ、排尿障害は前立腺がんでも起こりうる症状です。前立腺肥大症での受診をきっかけに検査を進めるなかで、前立腺がんが見つかることもある。前立腺がんは多くの男性がかかるがんなので検査は有用です。

 ☆むらやま・しんいちろう 東京国際大堀病院泌尿器科病棟医長・腎尿管結石センター長。福井医科大学卒業後、日本赤十字社医療センターなどを経て現職。日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器科学会指導医。悪性腫瘍ロボット手術(前立腺がん、膀胱がん、腎・尿管がん)、尿路結石手術、腹腔鏡手術などを専門とする。