夏になると増えるといわれる膀胱炎。誰しもが発症する可能性のある身近な疾患だ。いったいどういう病気なのか、泌尿器科医の村山慎一郎先生に話を聞いた。

 ――膀胱炎とは

 村山医師(以下、村山)膀胱は尿をためておく袋状の臓器です。大腸菌などの雑菌が尿道口から尿道をさかのぼって膀胱に入り込み、膀胱の粘膜に炎症を起こすことを膀胱炎といいます。

 ――どのような症状が出るのでしょうか

 村山 代表的な症状は3つ。おしっこの最後の方に、ツーンとした痛みを感じる排尿時痛。そして、おしっこが近くなる頻尿。あとは、膀胱炎の程度によっては血尿が出ることも。もしこれらの自覚症状があれば泌尿器科を受診しましょう。膀胱炎は決して珍しい病気ではなく年中患者さんがいます。恥ずかしがらず受診してくださいね。

 ――悪化するとどうなってしまうのでしょうか

 村山 膀胱で繁殖した雑菌が、ほかの臓器まで広がっていく、尿路感染症につながります。尿路というのは、腎臓で作られた尿が尿管を通り膀胱にためられるという一連の流れの経路全てを指します。つまり、前立腺炎や尿道炎、腎炎や腎盂炎などにつながりかねないということですね。

 ――年齢や男女関係なく、誰もがなる病気ということでしょうか

 村山 その通りです。ただ、特に女性の患者さんが多い傾向にはあります。理由としては、人体の構造の違いです。膀胱炎を招く雑菌はさまざまとはいえ、多いのは大腸菌です。女性は尿道口の近くに膣や肛門が並んでいるため、排便時や性交時に付着した雑菌が尿道に入り込みやすい。さらに、女性は尿道口から膀胱が近く、尿道の長さが約3~4センチしかないため、雑菌が膀胱内に侵入しやすいのです。

 ――男性は陰茎がある分、尿道が長いということですね

 村山 男性の尿道は約16~20センチほどありますからね。雑菌が逆流して膀胱に到達するには結構遠いです。とはいえ、男性は膀胱炎にならないというわけではありませんので、症状が出たら早めに受診してください。特に男性は膀胱炎の背景に別の病気が隠れているケースがあります。

 ――どういうことですか

 村山 女性は基礎疾患がなく膀胱炎になります。しかし男性の場合は、前立腺肥大症など尿の出が悪くなっていることをきっかけに膀胱炎になるケースが多い。つまり、前立腺が肥大することに関連する基礎疾患もあるかもしれないので、膀胱炎の受診をきっかけにほかの病気の治療につながることがあるんです。

 ☆むらやま・しんいちろう 東京国際大堀病院泌尿器科病棟医長・腎尿管結石センター長。福井医科大学卒業後、日本赤十字社医療センターなどを経て現職。日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器科学会指導医。悪性腫瘍ロボット手術(前立腺がん、膀胱がん、腎・尿管がん)、尿路結石手術、腹腔鏡手術などを専門とする。