医療の世界の発展はめざましく、がん=不治の病というイメージも変わりつつあるのではないだろうか。そんな昨今でも、いまだに治すことが難しいのがすい臓がんだ。すい臓がんにかかるリスクが高いのはどういう人か、少しでも早く見つけるにはどうしたらいいのか、消化器外科医の横尾貴史先生に教えてもらおう。
――すい臓がんはどういう自覚症状がありますか
横尾医師(以下、横尾)背中の痛みや黄疸が代表的な症状です。基本的に症状が出てきたら残念ながら進行が進んでおり、厳しいケースが多いです。背中の痛みというのも、結局すい臓にできたがんが進行し、背中の神経まで浸潤するから起こるわけです。
――黄疸はなぜ起こるのですか?
横尾 すい臓と肝臓がつながる場所をがん細胞がせき止め、肝臓からの消化液が流れず、皮膚が黄色くなってきます。がんが大きくなってきて、流れ道をふさいだために、黄疸が出るわけですね。
――そもそも、その流れ道の部分にピンポイントでがんができることなどもあるのでしょうか
横尾 極めてまれではありますが、それはあり得ます。そういうケースだと「十二指腸乳頭部がん」といいます。すぐに手術を行えば、すい臓などへの転移も防げ、予後がよくなる可能性は十分にあります。
――やはり、まずできることは健康的な生活しかない気がしてきました
横尾 まさにその通りです。確実な原因はまだ分かっていませんが、リスク要因は分かってきています。まずは慢性すい炎です。炎症が継続して起こっているということは、そこにがんができやすいということです。あとは、喫煙や大量飲酒、肥満や糖尿病といった生活習慣に関わること。ほか、二親等くらいの近親者にすい臓がんが2人以上いる人は遺伝性のすい臓がんの可能性があります。最後に加齢です。やはり年齢が高い人ほどなるリスクは高くなります。
――こういうリスクが高い人は自発的に検査を受けることは有用でしょうか
横尾 もちろんです。なかなか早期で見つけられないがんとはいえ、見つかる人もいますし、見つかれば助かるケースもあります。代表的な検査項目としては、腹部エコー、腹部CT、腹部MRIなどがあります。あとは、がんの疑いがある人により精度高く確認するための超音波内視鏡というものもあります。それぞれ体への負担も違えば、見つけやすさも違うので、医師と相談しつつ選択するとよいでしょう。
☆よこお・たかし 消化器外科医。外科学会専門医・消化器外科学会指導医・消化器内視鏡学会専門医。神戸大学医学部卒業後、がん研究会有明病院などを経て、社会医療法人健生会土庫病院消化器・肛門病センターの副センター長として勤務している。












