梅毒の拡大が止まらない。感染者数は2021年から2年連続で過去最多を更新し、昨年は1万人を超えた。早期に発見できれば治療は難しくないが、妊娠中の感染は母親や子供へ影響を与えることもある。都内の性病専門クリニックで院長を務める福地裕三医師に現状や症状について教えてもらおう。
――5月の時点で、都内の今年の梅毒報告数が昨年同時期より2割程度多く、全国的にも過去最悪のペースで増えています
福地 診察をしていても、アウトブレークを実感しているところで、コロナが明けたことで加速度的に増えています。感染者は男性の方が多いのですが、最近は20代女性の増加も顕著です。
――なぜこれほど流行しているのでしょうか
福地 様々な要因があるのでハッキリとは言えませんが、感染ルートの多様化や、SNSの普及により不特定多数の人と性交渉をする機会が増えたことも一因かもしれません。
――どのような症状が出るのでしょう
福地 陰部がただれたり、鶏の軟骨のようなしこりができるのが代表的な初期症状。ただ、痛みがないので、気付きづらい。しかも、その症状が出ない人もいるのが困ったところです。
――次の段階になって初めて症状が出るということですか?
福地 はい。いわゆる第2期で、体に発疹ができます。中でも、手のひらや足の裏にできるのが梅毒の特徴で、さすがにこの段階になって「これはおかしいぞ」と受診される方も多いのですが、発疹が出るのが、感染して2~3か月後になることもあるのです。
――その間に誰かにうつしてしまっている可能性がある、と
福地 はい。女性の場合はしこりに気付きにくいことも多いですし、スプレッダーになってしまう可能性があります。また、発疹が出たときに、皮膚科や泌尿器科を受診したとしても見逃されてしまうケースもあるのです。
――なぜでしょう
福地 2000年代後半までの20~30年は感染者数が非常に少なく、梅毒の診察経験がほとんどない医師もいます。皮膚科でじんましんや通常の発疹だと診断され、飲み薬とステロイドのクリームを処方され、それでも治まらずに当クリニックに来る方もいらっしゃいました。泌尿器科で亀頭包皮炎で済まされてしまった人もいます。
――治療は難しいのですか?
福地 いえ、ペニシリンを4週間内服すれば治ります。検査は血液検査で、感染して4週間程度たたないと結果が出ないのですが、明らかに症状が出ている場合は、すぐに治療を始めることが多いです。
――予防するには
福地 粘膜接触による感染がほとんどで、キスでもうつるといわれるぐらい感染力が非常に強いですから、やはりまず、不特定多数の接触がある人との性交渉を避ける。もちろんコンドームも有効ですが、「オーラルセックスのときは着けていなかった…」という人も少なくありません。性行為をする際には気を付けていただきたいところですね。
☆ふくち・ゆうぞう 山梨医科大学医学部卒業。竹田綜合病院で初期研修医を務め、都内スキンクリニックに在籍。大手性感染症クリニック院長職を経て、2021年7月に「にじいろクリニック新橋」を開院した。












