ストレスをため込むと起こしやすい「自律神経失調症」。家に帰っても仕事のことを考えてしまう人は注意が必要だ。今回は同病気の治し方や予防法を精神科医の前田佳宏医師に教えてもらおう。

 ――改めて自律神経失調症とはどのような病気ですか

 前田医師(以下前田)簡単に言うと、ストレスによって病状が出てくるという病気です。ストレスが強いと様々な症状が出てくるのが特徴です。主な症状はめまい、ふらつき、動悸、呼吸がしづらい、耳鳴り、吐き気、便秘、頭痛があります。

 ――病名にある通り自律神経が関係しているんですよね?

 前田 自律神経は交感神経と副交感神経によって成り立っています。例えば自分が仕事をするときなど、がんばらなきゃいけない場面のときは交感神経が働きます。一方で、落ち着こうとするときは交感神経を休め、副交感神経が働くようにできています。副交感神経を働かせることで体を休めることができるんです。しかし、自分が休みたい場面のときに交感神経が働くと体が休まらないんです。この2つの神経のバランスが崩れてしまうと自律神経失調症になってしまいます。

 ――無意識にストレスがたまっていくこともあるとか

 前田 例えば仕事で心配ごとや悩みがあるときは、家に帰っても仕事のことを考えてしまいますよね。仕事をしていなくても、明日どうしようとか会社に行くのが嫌だななどと考えて気が抜けない状態が続くと、体にとってはストレスになってしまうんです。体の中の状態としては仕事中のときと同じ状態になっているので体が休まらないんですよね。これも自律神経失調症のリスクになるのでオンオフの切り替えを意識するといいでしょう。

 ――自律神経失調症になると回復するまでに時間がかかるのでしょうか

 前田 ストレスの程度にもよりますが、軽い人だとだいたい2週間から1か月くらいストレスから離れて生活することで徐々に自律神経のバランスを整えられるようになります。ストレスをどう減らすかが重要ですね。職場の人にも協力してもらい業務内容を減らしてもらうなど、ストレスのもととなるものを一つひとつ解決していくようにすれば仕事に対するプレッシャーもだんだんと軽減されていきます。

 ――なりやすい人の傾向

 前田 体は無理している状態になっていても頭ではまだできると思ってがんばりすぎてしまう人が傾向としては多いように感じます。大変な状況でも無理できちゃう人、責任感が強い人、完璧主義の人という感じですね。そういった人は自分のストレスに気が付きにくいという傾向もあります。ストレスを感じていてもたいしたことないと自分に言い聞かせてがんばるような人は要注意ですね。

 ――予防法はありますか

 前田 自分のストレスを細やかに把握して早めに休むことが大切です。むしゃくしゃして、たくさん食べたりお酒を飲んだりギャンブルをしたくなるときは精神的に疲れているサインです。いまのストレスに感じていることを減らすか、休息を多くする必要があります。仕事の業務量が多いことがストレスになっているのなら業務量を見直したりするなどして根本的な部分を解決しましょう。また、緊張状態の体を緩ませる方法としては筋トレがオススメです。トレーニングで力を出し切ることで体が緩みやすくなるのでリラックスできます。

 ☆まえだ・よしひろ 2013年島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科専門外来を経験。現在は東京・町田の「和クリニック」院長。生きづらさを最短で軽くするセルフメンタルケアの講座や情報発信をする。産業医やメンタルヘルス企業の社外顧問としても活躍。