先日、イタリアンレストランを経営する知人が「今週はノンアルがほとんどで、お酒があまり出なかった」とSNSに投稿していた。実はこの流れ、単なる気のせいではない。サントリーの推計によると、2024年のノンアルコール飲料市場は4584万ケース(350ミリリットル缶換算)で前年比111%。10年前の約1・6倍規模まで拡大。25年も4730万ケース規模への成長が見込まれている。さらに富士経済の調査でも、24年のノンアルコール飲料市場は867億円規模。25年には930億円規模まで成長すると予測されている。
背景には健康意識の高まりがあるが、それだけではない。大きいのは「味の進化」だ。
正直、昔のノンアルコールビールは「仕方なく飲むもの」という印象だった。どことなくカラメルを思わせる甘苦さが、「いかにもビールっぽく作りました」という味で、これを飲むなら水のほうがいいと思っていた。だが最近は違う。ビール系は苦味や喉ごしの再現度が上がり、ワインテイストやカクテルテイストも充実。「これなら普通においしい」という声も珍しくなくなった。
さらに最近は、ノンアルをアルコールの合間に挟む「ノンアルちゃんぽん」人も多くなってきた。私自身、翌日に出張があったり、早朝の打ち合わせがあったりする時はそうしている。実際、途中でノンアルを挟むだけでも体への負担は変わる。アルコール摂取量が減れば、肝臓への負担だけでなく、脱水や睡眠の質低下、翌日の倦怠感も抑えやすくなるからだ。
こう書くと「酒離れが進んでいる」と思うかもしれないが、むしろ逆で酒を長く飲み続けるための「戦略的飲み方」である。仲間と酒席を楽しく飲みながら、翌日もスマートに仕事をこなす。そんな酒との付き合い方がうまい「ノンアルちゃんぽん派」が今増えている。そう、ノンアル市場の拡大は、単なる健康ブームではない。「酔うこと」より、「翌日に響かないように酒席を楽しむこと」を優先する時代の到来を示唆しているのだ。












