行楽シーズン真っ盛りの今、駅弁を楽しみにしている方も多いのではないだろうか? さて、駅弁といえば合わせたくなるのが売店で買えるカップ酒。それも純米や大吟醸ではなく、お安い普通酒がしっくりくる。ウキウキ気分や旅情がおいしさを底上げしているのもあるが、実は「双方の味の設計が似ている」という点が大きい。

 安価なカップ酒の多くは、一口飲むだけで旨味や甘味が分かる味に整えられていることがほとんど。アルコールの刺激をやわらげつつ、飲みやすさを優先した設計になっている。一方、駅弁もまた同じ方向性で作られている。冷めた状態でもおいしく感じられるよう、味はややしっかりめ。さらにアミノ酸系の調味料や、甘辛い味付けによって、旨味とコクが強調されている。つまり、どちらも「旨味と甘味が前面に出た似た味同士」なのだ。これが駅弁と、安価なカップ酒が違和感なく寄り添う大きな理由である。

 むしろ大吟醸をはじめとする高価な日本酒を合わせると、酒の繊細な香りや余韻が、濃い駅弁の味にかき消されてしまうことが多い。そう考えると、この組み合わせは「適当に選んだ結果」ではなく、実はよくできた相性ともいえる。

 私のおすすめは、シウマイ弁当とカップ酒だ。旨味がしっかりのシウマイ、甘辛いタケノコの煮物、箸休めの甘い卵焼き…。おかず全てが旨味+甘味+ほど良い塩気で構成された「どうぞ飲んでください」と言わんばかりの弁当は、まさにカップ酒の最高の友なのだ。狭い車内だと、「あ、誰かシウマイ弁当食べてるな」とすぐに分かるが、酒飲みからしたら、そのにおいだけで1杯飲めそう。そのにおいごと含めて、この組み合わせはカンペキなのだ。

 これからは、ますます出かけるのが楽しくなる季節。ちょっと早めに家を出て、好みと弁当とカップ酒を片手に移動時間ごと堪能して欲しい。