2024年から新NISAが始まり、投資が身近なものとなった。「20年ほったらかすだけでいいことがある」と語るのはオルカン(※1)の生みの親である三菱UFJアセットマネジメント特別業務顧問の代田秀雄氏だ。投資のトの字も知らない素人の若手記者が「総資産20万円。今からでもオルカン間に合いますか?」と率直な質問をぶつけた。
三菱UFJアセットマネジメント時代に代田氏が主導して生み出したオルカンは、新NISAの主役へ押し上げられ、純資産残高10兆円を突破した。
今から買うには乗り遅れたように感じられるが、代田氏は「もちろん間に合います。5000円でも、ほんの少しの額からでいいんです。20年続ければ幸せなことが起こりますよ」とうなずいた。投資は「習慣」と説き、まだ始めていない人もすぐに始めて、投資に慣れた方がよいという。
直近では米国とイスラエルがイランを攻撃し、エネルギー市場を中心に不確実性が増している。オルカン投資をしている人も不安な夜を過ごしているが、同氏はこういう時こそ〝握力〟が試されると説く。
「問題ないです。投資で難しいのはどれくらいの時間軸で投資をするかということ。僕は20年くらいで投資は考えましょうと言ってます。リーマンショックでも世界株式は6割下がりましたが、6年で取り戻しました」
下落があっても、経済活動そのものを背景にして市場は長期的に右肩上がりで成長を続ける。「だから、20年なんです。10年だけを切り取ると、マイナスになることもあります」
投資は「不確実性に賭ける」ということだという。このような不安定な時世だからこそ、個別株ではなく、投資信託であるオルカンを勧めている。「明日イランがミサイルを撃ったとして、それがどこに落ちるかは誰もわからない。でも、それ次第で個別株は一変するじゃないですか」
その上で「オルカンは長期で心安らか。投資はストレスがない方が絶対にいいんです。エネルギーは仕事や恋愛、家庭に使うべきです」と笑った。
現在は会社を設立し、企業向けにブランド戦略や資産運用についてのアドバイスを行っている。30日放送のカンテレ・フジテレビ系特番「カズレーザー&石井亮次も知らない神研究! シャーベル賞」にも出演する。全国の視聴者に投資のイロハを教えるなど活躍の場を広げる代田氏だが、意外にも資産形成に乗り出したのは40代になってから。「だから、実はあんまり偉そうなこと言えないんですよ」と白い歯をのぞかせた。
そんな代田氏はお金の価値は「世の中を回すことにある」と考えている。仮に投資で億り人となっても、使わないと何も得られない。「お金を使うことで本人が幸せになり、支払いをして企業や会社が儲かり、それが世界経済を押し上げるわけなんです。増やしたお金で消費をする。そうするとさらに世の中が回り出す。これがお金の本来の使い方のはずです」
日本人は貯蓄志向が強い。新NISAが始まり、収入の多くを投資に回す「NISA貧乏」も出現している。「口座にため込んで亡くなられるのが一番経済にとって迷惑なこと。お金はどんどん使ったほうがいい。そして、さらにいっぱいお金を使えるように、少しだけ運用をする。将来的にさらにお金を使えるようになりますし、もっと世の中をよくできるんです」と力説した。
【※1オルカンとは】投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式」(オール・カントリー)の通称。低コストで世界中の株式に分散投資する。個々の株式ではなく、世界経済全体の成長を享受することができる。相対的にリスクは低いが、短期間で大きな利益は狙いにくい側面もある。
☆しろた・ひでお 1985年に旧三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社。法人融資、年金運用業務に従事し、三菱UFJ国際投信(現三菱UFJアセットマネジメント)に移籍。2019年より常務取締役を務めた。25年から特別業務顧問に就任するとともに、株式会社シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズを設立した。4月16日に著書「オルカン思考 世界経済を味方につける『長期投資』の教科書」(Gakken)が発売される。














