【女流雀士NEXTヒロインインタビュー】芸能活動も行うプロ雀士の中で、Mリーグ入りもささやかれるほどの実力を持つ女性雀士のインタビュー連載。今回は大学時代に愛媛発のガールズバンド「たけやま3・5」のボーカル兼リーダーとしてデビューし、現在は愛媛・伊予観光大使も務めながら、ガールズ音楽ユニット「Suupeas(すーぴーず)」として活動している武田雛歩(日本プロ麻雀連盟)を直撃した。今年3月には、次世代スターの登竜門とされるタイトル戦「桜蕾戦」で優勝するなど、さらなる飛躍を遂げようとしている武田の原点に迫る。

 瀬戸内海の美しい景観を望む愛媛県で生まれた武田の人間形成に大きな影響を与えたのは祖父母だった。

「私はおばあちゃんとおじいちゃん子でした。7歳の頃、歌を習いたいっておばあちゃんに相談したら、連れて行ってくれたところが民謡教室だったんです。おばあちゃんは歌といえば民謡と思っていたんですが、始めた時はなんじゃこりゃっていう感じでした。でも続けていくと民謡の楽しさがだんだん分かってきて、19歳の時に民謡の全国大会で準優勝できて、21歳になるまで習っていたので、今でも民謡はすごい好きですね」

現在はガールズ音楽ユニット「Suupeas」のメインボーカルとして活躍中
現在はガールズ音楽ユニット「Suupeas」のメインボーカルとして活躍中

 部活動も祖母に勧められたとほほ笑む。「中学生になってからはおばあちゃんの勧めで茶道部に入り、高校、大学でも茶道部に所属し、現在も茶道の会に入って続けています」と、民謡と茶道という日本が誇る伝統文化の継承者でもあるのだ。

 麻雀との出合いは、小学6年生の頃、家族麻雀で始めたことにさかのぼる。

「麻雀アニメ『咲―Saki―』を見て、麻雀が好きになったんです。それで家族でやろうという話になって、おじいちゃんと一緒に麻雀マットを作るところから始めました。まず最初に正方形に板を切り出して、へりも作って、その上に緑のシートを貼ってというように、なんでも自分でやるDIYおじいちゃんなんですよね。手作りマットが完成してからは、晩ご飯が終わったら麻雀の時間になり、おじいちゃんとおばあちゃんと母と手積みでやってました。ただ、おじいちゃんが強くて、なんか毎回すごい懲らしめられて終わるんです。いつもおじいちゃんだけが楽しそうだったんで、すごい悔しくて。その悔しさを糧に、いつかおじいちゃんを負かすぞという思いで、気づけば10年ほど、毎晩のようにやってましたね」

幼少の頃から麻雀牌と親しんできた
幼少の頃から麻雀牌と親しんできた

 高校卒業後、地元の芸能事務所からスカウトされ、オーディションを受けることになった。

「オーディションの最終審査は地元のショッピングモールが会場だったので、家族みんなで応援しに来てくれました。民謡の全国大会で歌った“祖谷の粉ひき唄(いやのこひきうた)”で出場したら、グランプリをもらえたんです。それで『たけやま3・5』というバンド名でデビューすることになったんですけど、メンバー全員が愛媛出身だったんで、県知事やゆるキャラの子が応援に来てくれたり、県民みんなでバンド活動を盛り上げてくれました」

 2020年1月、毎週日曜深夜放映のMリーグ情報番組「熱闘!Mリーグ」にゲスト出演した折、武田はプロ入りを宣言した。

プロを目指すきっかけについて語る武田
プロを目指すきっかけについて語る武田

「Mリーグで当時KADOKAWAサクラナイツに所属していた沢崎誠プロを見た時、他の選手とは全然違う麻雀をされていると感じたんです。デジタルじゃない打ち筋というか、心で打たれているような麻雀で、一気に好きになりました。オリジナリティーがあってずっと見続けたくなる沢崎プロの麻雀に憧れて、沢崎さんを中心にMリーグを見るようになってから、Mリーガーになることが目標になったので、プロを目指すことを宣言しました」

 武田のプロ入りまでの奮闘記は、同番組で密着され、その取材の中で憧れの沢崎に対面することができた。

「プロ試験を受ける前に沢崎プロがサプライズで応援しに来てくれて、その時に“東場は打点、南場は順位”という戦い方を教えてもらいました。東場は打点だけを狙う意識で、着順は南場になってから考える。その教えは今の私の指針になっていて、常に意識して打ってます。実際にお会いさせていただくと、本当に物腰の柔らかい優しい方で、差し入れで持って来てくれた沢崎プロの手作りおでんを一緒に食べたんですが、記憶が飛ぶぐらい感動しちゃいました」

 だがプロ試験は不合格だった。

「単に実力が足りなかったのに、落ちた時はショックで歌手活動のスケジュールを考えると正直もう一回プロ試験を受けるかどうかすごく悩みました。そんなくよくよしていた私に『プロになりなさい!』と母が背中を押してくれたんです。それで再チャレンジを決意し、1年越しのプロ試験で合格することができました。おじいちゃんとおばあちゃんは、私がプロになることは予想していなかったみたいで『孫がプロ雀士になった!』と結構たまげていましたね」

 プロ入り後、新たな思いも芽生えた。「当時のファンの方は、麻雀を全然知らない人たちが多かったので、まずはその人たちに麻雀を広めて、麻雀を好きになってもらいたいなと思いました」と愛媛・伊予観光大使でありながら、麻雀伝道師という役割も担うようになった。 ※後編に続く

「愛媛は海がめちゃくちゃキレイ。鯛めしも美味しいのでぜひ食べてほしいです」
「愛媛は海がめちゃくちゃキレイ。鯛めしも美味しいのでぜひ食べてほしいです」

 ☆たけだ・ひなほ 1999年3月3日、愛媛県生まれ。O型。“お昼寝系”ガールズ音楽ユニット「Suupeas」のボーカルとして活動。2021年、日本プロ麻雀連盟のプロテストに合格。獲得タイトルは第11期桜蕾戦、ABEMA10周年記念「30時間限界突破フェス・チーム対抗!芸能人朝まで徹マン決定戦」優勝。好きな役は一気通貫。勝負メシは麻辣担。