「罪人」。これは、八丈島で造られた焼酎の銘柄。ここ数年で一番インパクトのある名前と、罪でイケナイ雰囲気が漂うクールなルックスにときめいてしまった。だが、この名前は決してウケを狙ったものではない。そこには、八丈島の歴史が深く関わっている。

芋と麦をブレンドした八丈島の焼酎「罪人」
芋と麦をブレンドした八丈島の焼酎「罪人」

 江戸時代、流刑地だった八丈島には多くの罪人が送られた。その一人、薩摩から流された商人・丹宗庄右衛門は、故郷から蘭引(らんびき)を取り寄せ、焼酎造りを島へ伝えたとされる。そんな歴史に魅了されたのが、酒類メーカーの事業開発を手がけるUNFILTER代表で、フランス出身のビンセント氏だ。彼は伊豆諸島を旅した際、八丈島のテロワールや物語、焼酎文化の奥深さに心酔。その思いに共感したチームと坂下酒造がタッグを組み、焼酎「罪人」が誕生した。

 さて、そのお味はというと、ストレートで飲むと上質なビターチョコレートを思わせる風味が実に心地いい。地元産のさつま芋と栃木県産の大麦を50対50でブレンドしていることもあってか、双方の風味が溶けあい、複雑な味わいを成している。晩酌のアテにと買ってきたサーモンのちらし寿司とともに、ハイボールにして合わせると…、これがもう申し合わせたかのようにピッタリ!

 舌に残ったサーモンの脂をサッと流し、旨味だけを残してくれる。最後に残る焼酎の甘味が、次のグラスを誘ってくれる。炭酸効果で香りもさらにアップ。箸もグラスも止まらない。ホントに「罪なハイボール」だ。

 つい飲み過ぎ、食べ過ぎて体重が気になるところだが、焼酎は糖質ゼロ。メタボが気になるお年頃の酒飲みにもありがたい。とはいえ、飲み過ぎてしまうのは、それこそ罪。八丈島が育んだ焼酎文化の奥深さに思いを馳せながら、ゆっくりとしたペースで味わって欲しい。