7月の声を聞いた途端、打ちのめすような暑さが続く。こう暑いと、つい飲んでしまうのがビール(真冬でも飲むけど)。それも大ジョッキで。ゴキュッゴキュッという音とともに、一気に半分くらい飲む。そして毎回思う。「なぜビールは大量に飲めるのに、水は飲めないのだろう?」と。「ビールはアルコールが胃で吸収されるので、たくさん飲める」という説もあるが、ホントのところはどうなのだろう?

 親しいドクターに聞くと、「胃で吸収されるアルコールは全体の5~10%程度なので、この説だけでは説明できない」という返事が返ってきた。有力な説として考えられるのが、「ガストリン」という胃から分泌されるホルモン。ガストリンには胃酸の分泌を促すほか、胃の内容物を小腸へ送り出しやすくする働きがある。具体的には、胃の入り口付近の動きを抑え、出口側の動きを活発にする。ビールはこのガストリンの分泌を促すことが報告されており、その結果、胃の中が空きやすくなり、大量に飲めるのではないかと考えられている。

 ただし、これだけですべてを説明できるわけではない。ビールは炭酸や苦味、香りなど複数の刺激が味覚や嗅覚を心地よく刺激する。さらにアルコールには脳の報酬系を活性化し、「もっと飲みたい」という欲求を高める。こうした複数の要因が重なることで、水よりも多く飲めてしまうというようだ。

 もちろん、たくさん飲めるからといって、水分補給になるわけではない。アルコールには利尿作用があり、飲酒量が増えるほど脱水のリスクも高まる。猛者はビールをチェイサーに、ワインを飲んだり、焼酎を飲んだりしているが、これは絶対に避けたい。特に大量の汗をかく今の季節は、ビールを楽しみながら、同量の水を一緒に飲むことを忘れないようにしよう。