【激安!大人の極楽温泉】湯之元温泉は、鹿児島市内から小さな山をいくつも越えていくこともあって、車で30分、電車でも25分ほどと近いのに別世界のような田舎町に湧く。開湯は寛永17年(1640年)と古く、歴代の島津藩の殿様や藩士が入浴した〝元湯〟、その隣にある一般の領民が入浴した〝打込湯〟が現代では一緒になって「元湯・打込湯」として200円で入れる共同湯がある。

昭和のムードたっぷりの客室
昭和のムードたっぷりの客室

 今回紹介する「そのがしら荘」は、今にして思えば〝ご縁〟だったなと思うお宿。取材前はどの温泉に行くかをSNSで下調べするが、外観のインパクトで一番にリストアップ。今の温泉かいわいでちょっとしたブームになっている〝鄙(ひな)び系〟にピッタリというのもあった。

 さて当日。初めて訪れた湯之元温泉は国道から1本路地に入ると、営業しているのか分からないスナックの看板の店(家?)や、古い建物で看板は釣具店なのに人気のパン屋さんだったり、無人販売で玉ねぎ8個も入っているのに100円と、街から外れた通りの景色に土の匂い。50年以上昔の〝昭和〟がまだ残っている懐かしい風景にちょっぴり感動した。

湯之元温泉「そのがしら荘」の貸し切り風呂(モデル=くまの★あすみ)
湯之元温泉「そのがしら荘」の貸し切り風呂(モデル=くまの★あすみ)
蛇口は左から冷鉱泉、水道水、自家源泉の温泉、水道水を熱くしたもの 
蛇口は左から冷鉱泉、水道水、自家源泉の温泉、水道水を熱くしたもの 

「そのがしら荘」もその〝昭和の時のまま〟取り残された一角にたたずむので違和感はない。驚くのは素泊まりでなんと税込み3300円! それに夕食、朝食をプラスした1泊2食付きでも6400円と激安。しかも源泉かけ流しの温泉に入れて、風呂は連れと一緒に入れる貸し切り風呂が2つ。客室は自炊をしようとすればできるキッチンが付き、あまりの外観の古さにトイレはボッチャンかと思いきや、ウォシュレット付きの水洗トイレと予想外の快適さなのだ。

 館主いわく、湯之元温泉は50年くらい前までは温泉宿が50軒以上あったそうで、ソープはもちろん、いろんな風俗、スナックなどでにぎわう歓楽温泉地だったそう。宿前の小道を上ったところに「湯之元球場」があり、国鉄スワローズ時代のキャンプ地だったこともあって、当時の花形選手だった金田正一氏が温泉街で毎晩飲み歩いてるのに、早朝から宿前を走って球場入りをしていたそうで、宿前を掃き掃除中の父親と顔なじみになったそうとか。その後にロッテ監督時代までもキャンプ地として利用して地元民に愛され「金やんは友達」とみんなに自慢していたんだと。

 その時代は高度成長期のバブル経済だったのもあって、温泉宿の息子はほとんどがボンボン。館主も故郷を捨てて大阪で満喫してた頃。プロレスが大好きで「大スポ」を愛読し、推しの選手の試合のたびに上京しては後楽園ホールでプロレス観戦。で、その際の楽しみが刷ったばかりの「東スポ」の当日版を買うこと(地方の多くは翌日の朝刊だった)。

宿の隣にある元湯・打込湯と温泉神社
宿の隣にある元湯・打込湯と温泉神社

 鹿児島に戻った後は「九スポ」を近くのコンビニで買って愛読し、気に入った1面の見出しやプロレス記事があると本家・東スポも手に入れてるんだとか。で、それらを段ボールで保管してるんだって。もう家に入りきらないので別宅が倉庫。書籍もほとんどあるという、某テレビの鑑定団でも値段がつかない東スポ収集家でもあった。

「大黒さん、今度は泊まりで来てよ!」とおっしゃってくれたが、たぶんあれもこれもと館主だけの〝自慢のお宝〟が次から次へと出てきて、寝ることができるか不安も…。

 旅をしていると「東スポ」ファンに遭遇することがあるが、この方が過去一の最強ファン。そのうちに「そのがしら荘」が「東スポ」ファンの聖地になることを祈ります。

【モデル=くまの★あすみ】博多出身のご当地グラドル。世界一周旅行中に「本当にいい国(ハート)」とSNSでポストした日にパスポートと現金を盗まれるが何とか無事に達成し、福岡を中心に活動中。