最近、健康に関連して「腸内細菌」や「腸活」という言葉を耳にする機会が非常に多くなった。おなかの不調を抱える中高年は少なくないが、私たちの体内にすむ細菌が、具体的にどのように健康に関わっているのかを詳しく知る人はまだ少ないのが現状だ。専門家に尋ねた。
【腸内に100兆個の細菌がつくる「社会」がある】
人間の腸の中には多種多様な細菌が生息しており、その数はおよそ数百種類、100兆個以上といわれる。これらの細菌が集まった状態を「腸内フローラ」と呼ぶ。フローラは「花畑」を意味し、さまざまな種類の花が共生している花畑のように腸内の細菌は全体として一つの社会のように共生しながら腸内にすみ着いている。多種多様な菌が共生しながら一つの社会のようなネットワークを築いて消化や代謝を助けているのだ。
しかし、現代のストレスや食生活の乱れによってこのバランスが崩れると、おなかの張りやガス、下痢や便秘の繰り返しといった不快な症状が現れる。また近年では、過敏性腸症候群(IBS)や小腸内細菌異常増殖症(SIBO)、大腸がんや潰瘍性大腸炎、さらに中高年によく見られる肥満や糖尿病といった生活習慣病の多くに、腸内フローラの乱れが関与していることが明らかになっている。
さらに驚くべき事実は、腸の状態が「心」や「脳の機能」にまで影響を及ぼす点である。
【脳と腸は互いに影響し合う「脳腸相関」】
「精神的なコンディションと腸内環境の関連は、今や医学界でも非常に重視されています」と説明するのは、腸内フローラ移植技術の研究開発を推進するシンバイオシス社(大阪市都島区)の田中三紀子社長だ。
脳と腸は、自律神経や免疫系、ホルモン、そして腸内細菌が産生する物質を介して双方向に影響し合っている。これを専門用語で「脳腸相関」と呼ぶ。
例えば、強いストレスが腹痛を引き起こす一方で、腸内環境が悪化すると気分や認知機能にまで悪影響を及ぼすことが分かっている。うつ病や認知症、パーキンソン病といった疾患においても腸内フローラの悪化が関連していることが近年の研究で判明している。
自分の腸内細菌が今どのような状態にあるかを知るために、最近では病院や郵送などで「腸内フローラ検査」を受けることが可能になっている。まずは自分の腸内フローラのバランスを知り、適切なケアを始めることが、心身の不調を防ぐ鍵となる。一人ひとりに合った腸内環境に配慮した食事を心がけたり、日々の生活に運動を取り入れたりして腸内環境を整える腸活は、健康だけでなく美肌やダイエット効果などさまざまなメリットがあるとされる。
次回は腸内フローラのバランスをどうすれば整えることができるのか、具体的な方法について聞く。












