【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。今年の「24時間テレビ」(日本テレビ系)のチャリティーランナーを俳優の星野真里さんが務めることが発表されました。星野さんの長女は国の指定難病「先天性ミオパチー」を患っています。福祉を考える機会にもなるので、星野さんの挑戦を見守りたいですね。

 さて、そのようなニュースに関連し、今週は介護施設で働くフランス人女性とがん闘病中の日本人舞台演出家の交流を描く、映画「急に具合が悪くなる」を紹介します。

 物語の舞台はフランス・パリ。介護施設の施設長を務めるマリー=ルー(ヴィルジニー・エフィラ)は、入居者を人間らしくケアする理想と現実のギャップに苦悩していたところ、がん闘病中の舞台演出家・森崎真理(岡本多緒)の手掛けた舞台に出合う。劇から勇気をもらったマリーは、森崎と交流を持つように。しかし、心が通じ始めたところで森崎の病が悪化してしまう――というストーリーです。

 主演のエフィラさんと岡本さんはカンヌ国際映画祭で最優秀主演女優賞をダブルで受賞するなど今作は世界中で高く評価されました。

 とにかく繰り広げられる劇中劇がすごい。介護者や要介護者、健常者や障がい者という枠組みが演劇を通して静かに外れていくんですよ。人と人があらゆる線引きを消して接する世界が本当に素晴らしい。

 また、196分という上映時間の長さもポイント。この長さにはきちんとした意味があるんです。ぶっちゃけた話をすると、最初は正直退屈なんですよ。ここ編集で短くしてもいいじゃんみたいなところもある。でも、それをあえて無視することで、「人によってはこれくらいのスピード感も普通なんだよ」ということを示しているんじゃないかと僕は感じました。我々は寄り添っているつもりでも、介護が必要な方とは感じ方がどうしても違うから、無意識に区別をしてしまっているんじゃないかということなんですよね。それを、序盤のスローな展開で伝えていると感じます。

 商業的な面でもそう。映画館だって190分の映画を流すより90分の映画を2本流す方が収益が見込めます。タイパ、コスパを考えるとそうなるんです。でも、介護ってそうじゃない。それを映画の内容とは別で観客に分からせる仕組みなんじゃないか、と。

 老いや介護、病気の人と接するということを正面から描ききっているとんでもない映画でした。見たら人生観が変わる、こんな作品を作る人がいるんだと衝撃を受けた作品です。ぜひ劇場でご覧ください。