去る4月19日、今年も大盛況のうちに「松尾大社 酒―1グランプリ」が開催された。昨年のどしゃぶりとは打って変わって、本年度は暑いくらいの快晴。そんな中、日本酒愛好家約1000人が醸造の神様で知られる松尾大社(京都府)に集結した。全国から最高の美酒を持参して参加した蔵は41蔵。舌の肥えた愛好家たちの投票によって、1~5位が選ばれた。

1位に選ばれたのは神奈川・吉川醸造の「雨降」
1位に選ばれたのは神奈川・吉川醸造の「雨降」

 栄えある1位に選ばれたのは、今年が初参加となる吉川醸造(神奈川県)。銘柄は「雨降」と書いて「あふり」と読む。酒蔵の近くにある丹沢大山は、古くから「雨降山」(あめふりやま)と呼ばれ、蔵の酒はこの山の地下伏流水で醸している。ラベルの文字は、丹沢大山と並び、雨乞いの信仰の場として知られる大山阿夫利(あふり)神社の神官によるもの。「酒の神」と「雨の神」が揃い踏みしたような結果に、思わずうなってしまった。

 気になるその味は、ほど良い旨味の奥に、ぶれない芯の強さがある。甘辛だけでは表現できない複雑な層を成す印象に残る1本。冷やして、ワイングラスで飲むと、より一層、その個性が光る。日本酒愛好家ならずとも、一度は飲んで欲しい逸品だ。

 さて、2位以降の蔵も紹介しよう。2位は昨年グランプリに輝いた「よこやま」を醸す重家酒造(長崎県)、3位は複数回受賞歴がある「神蔵(かぐら)」の松井酒造(京都府)、4位は同じくランクインの常連「三千櫻(みちざくら)」の三千櫻酒造(北海道)、5位は昨年も受賞した「上川大雪」の上川大雪酒造(北海道)。いずれも僅差で、甲乙つけがたい結果となった。

 しかし、うまい酒が100本以上並んだというのに、今年は泥酔者・救急車の出動もなく、主催者としては安堵するばかり…。それもそのはず。試飲前、参加者たちに酒の吸収速度をゆっくりさせる効果が期待できる「あおつぶ」をしっかり飲んでもらったから。私も実行委員長の大役をようやく終えたので、うまい日本酒をたらふく飲むとしよう。