睡眠の質が悪いことの原因となる睡眠障害。日中眠くなるという人は注意が必要かもしれない。十分な睡眠がとれないのは良くないことだが、寝すぎることも良くないという。今回は、睡眠障害の特徴や予防法を精神科医の前田佳宏医師に教えてもらおう。
――睡眠障害かどうか、どのように判断すれば良いですか
前田医師(以下前田)睡眠不足の症状が出ているかどうかで判断しましょう。睡眠時間が足りていても睡眠不足の症状が出ているのであれば睡眠の質が悪いということになります。睡眠不足の症状というのは例えば日中眠くなったり体調が良くないといった状態です。基本的には1日くらい眠れない日があっても特に問題はありません。眠れない日があれば次の日によく眠って睡眠のバランスを調節するようにできています。しかし、3日以上眠れない日が続いたら、それは良くない状態だと判断してください。
――睡眠時間が短くなったと感じる場合はどうでしょう
前田 年齢によって必要な睡眠時間は変わってきます。20代や30代は7時間くらいの睡眠時間だった人が、60代くらいになってくると6時間、70代になると5時間というように必要な睡眠時間が短くなります。よく、病院に来る方で昔よりも睡眠時間が短くなっているとおっしゃる方がいるのですが、睡眠時間が短くなっても日中眠くならなくて体調も問題なければそれが自分に適した睡眠時間だということなんですよね。無理やりたくさん寝てしまうと生活習慣病のリスクが高くなるとも言われていますので、寝すぎるのも良くないですよ。
――睡眠障害の原因は症状によって違うのでしょうか
前田 ひと言でいうと、睡眠障害の多くは睡眠の質が悪くなる病気です。睡眠の質が悪くなることで眠ってもまだ眠いから余計眠ってしまって過眠になる人もいれば、寝ても途中で起きてしまって不眠になる人もいるんです。
――受診する際に気をつけることはありますか
前田 まず、不眠症だからといってすぐに精神科に行くのではなく、睡眠外来に行くのがよいです。というのは、うつやストレスが原因で眠れなくなる人もいますが、そうでなくても睡眠の質が悪くなって眠れないという人もいるんですよね。ストレスがないのに眠れない状態になっているのは体の病気なので、睡眠外来を受診した方がよいのです。
――なるほど
前田 睡眠外来といっても、睡眠時無呼吸症候群しか診ない睡眠外来もあります。もっと幅広く自分の体のことを調べたいという人は大きな病院にある睡眠外来を受診するとよいでしょう。多くの人は睡眠時無呼吸症候群とむずむず脚症候群が主な要因となっていますので、それぞれの治療法を行います。また、メンタルの問題が睡眠不足の原因になっていたら精神科を受診しましょう。
――睡眠障害を放っておくとどうなりますか
前田 睡眠不足が続くと、生活習慣病のリスクが上がるだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞など致命的な病気のリスクも上がります。また、日中眠くなってしまうので交通事故のリスクも高くなります。また食欲がコントロールしづらくなります。睡眠がとれていないと、食欲中枢が刺激されて過食しがちになってしまいます。
――寝ている間に夢を見るのは睡眠が浅い状態なのでしょうか
前田 毎回夢を見るという人は質の良い睡眠がとれているとは言えませんね。ですが、深い睡眠がとれたあとは夢を見やすい状態になります。体は十分な睡眠がとれていても自分の気持ち的にもう少し寝たいと思って無理やり寝たりすると夢を見やすくなります。ちゃんと眠れた感じがして日中も眠くならない状態なら、夢を見ても問題ないです。日中眠くて困ってるのに夢ばかり見るというのは睡眠の質が悪いサインです。
――睡眠障害を予防するためにできることは
前田 眠れないときは焦れば焦るほど眠れなくなってしまいます。睡眠の目的は頭と体を休ませることなので、ちゃんと眠れなくても頭を空にしてちゃんと休ませていれば半分寝ているようなものだと思って、できるだけ楽に過ごすことが大事です。その方が眠りにつくのが早くなります。また、寝床についたときに体が睡眠のモードになるように、寝ながらスマホをいじったりテレビを見たりするのは控えた方がよいですね。
☆まえだ・よしひろ 2013年島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科専門外来を経験。現在は東京・町田の「和クリニック」院長。生きづらさを最短で軽くするセルフメンタルケアの講座や情報発信をする。産業医やメンタルヘルス企業の社外顧問としても活躍。












