目が閉じてしまったり食べ物が飲み込みにくいといった症状は単なる“年のせい”とは限らない。指定難病の一つである「重症筋無力症」にはそういった症状の特徴があるのだ。治療方法や受診するときに気をつけたいポイントを脳神経外科の伊藤たえ医師に教えてもらおう。

 ――主な症状と原因を教えてください

 伊藤医師(以下伊藤)この病気になる人はたくさんいるわけではないのですが、目のまぶたが閉じてしまうとか飲み込みにくいなどといった症状があります。体の中にできた自己抗体が原因となって神経と筋肉を連携する部分に障害が起こるのです。

 ――なりやすい人の特徴などはありますか

 伊藤 そういったことは特にないですね。予防法などもないんです。患者さんは50代から60代の人が多く、男女比は、男性よりも女性の方が少し多いという感じですね。
 ――病院ではどのような検査が行われますか

 伊藤 採血で病気が分かることもありますし、お薬を使って閉じてしまいがちだった目の症状が治るかどうかの検査を行ったりします。

 ――治療について教えてください

 伊藤 対症療法はお薬を飲んだりステロイドホルモンを使ったりしてその効果を観察していく治療です。重症筋無力症の患者さんの中には、胸腺が肥大する胸腺腫が原因となっている方もいるので、そういう場合は手術によって胸腺腫をとることもあります。こちらは根本治療の一つですね。胸腺腫が合併している方は胸腺腫をとることで重症筋無力症を治すことができますが、そうでない方にとっては同病気はなかなか治らないんです。

 ――重症筋無力症の患者さんは現在どれくらいいるのでしょうか

 伊藤 日本では現在約2万人の方が同病気を患っています。私が勤務する病院を受診する人の中でも同病気の方は少なく、そこまで多くの人がなる病気ではありません。

 ――最初に眼科を受診する人もいるとか

 伊藤 夕方になると目が閉じてくるといった症状があることから、はじめは目の異常を疑って眼科に行かれる方がいます。そこで眼科医が重症筋無力症と気がつけば詳しく検査をすることになると思いますが、目が閉じてしまうのは年のせいだからと言われて済まされる可能性もありますね。そのため、そういった目だけの症状がある方で重症筋無力症を見過ごされている方もいると思いますよ。

 ☆いとう・たえ「医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック」院長。脳神経外科、脳卒中学会専門医として、脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。