憂鬱になりがちな梅雨の季節。そんな時こそ元気が出る本を読んで自らを励ましたいもの。今回は大手出版社KADOKAWAアーティスト企画局の本田拓也さんに「梅雨気分を吹き飛ばして元気が出る本」5冊を推薦してもらった。笑いあり、涙あり。この5冊を読めば、ひと足先に夏の陽光が見えてくるのは間違いない。
【博士の愛したDT/谷口つばさ著、ぐんぴぃ(バキ童)、上田ピーター監修】
お笑いコンビの「春とヒコーキ」のぐんぴぃさん(バキ童)が、6年前にAbemaニュースで「日本人の童貞処女率が高いことをどう思いますか?」という街頭インタビューを受けた際に「私はバキバキ童貞(DT)です」と答えた様子がネットでバズったんです。しかもお笑い養成所に入る前日でした。周囲の勧めもあり「バキ童チャンネル」というユーチューブを始めたら大人気となり、現在、登録者数190万人です。
きっかけは日本の童貞処女率を研究しているスウェーデンの上田ピーター博士という方でした。仇敵ともいえる2人なのにあっという間に仲良くなって、今では日本とスウェーデンを互いに行き来されています。2人のおかしくもいびつな友情関係が描写されており、この題になりました。
著者は、ぐんぴぃさんと同期芸人の谷口つばささん。バキバキ童貞になる前からの関係性もあり、ディープに掘り下げてくださっています。2月発売から3刷のベストセラーで、ユーチューブファンでなくても楽しめる一冊になっています。
【慟哭の冠/久保田かずのぶ著】
2017年M―1チャンピオン「とろサーモン」の久保田さんの上京後の物語です。大阪では多くの賞を取ったものの、上京後は苦労された。その苦労話がこれでもかというくらいリアルに描かれています。久保田さんはラップもやられているので、文章もリズミカルな筆致でとても読みやすいです。
画期的なのは「まえがき」「あとがき」ではなく「なかがき」が随所に入っていること。昔の自分を現在の自分の視点で語って「1個扉が閉じたら別の扉が開く」などの教訓を導き出している。これは発明だと思います。
M―1で優勝するまで15年かかったり、奥さんが家を出て行ったり…。M―1優勝の後も「ドキュメンタル」という番組で優勝して2000万円を獲得する。さらに、この本が出る直前に、オンラインカジノ疑惑が出るんですが、本書の最後には予言めいた言葉がつづられていることでも注目を集めています。重版4刷と多くの方に手に取っていただいている一冊です。
【FP1級取得!サバンナ八木流 お金のガチを教えます/サバンナ八木真澄、ほんださん(本多遼太朗)】
お笑いコンビ・サバンナの八木さんのお金についての2冊目。八木さんは昨年に1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1)の資格を獲得した。「それならガチのお金の本を出しませんか?」という流れになり「誰も知らないお金のお得な情報をふんだんに盛り込む」という観点から、全100項目を掲載。3月発売で早くも重版2刷になりました。
「住宅ローンは変動より固定のほうがいい」「団信は最強の生命保険」など、八木さんが導き出した「お金の正解」が忖度なしで語られています。それをほんださん(東大式FPチャンネルを運営)が補足して整えてくださっています。
難しい用語も出てこないし、クスッと笑えるエピソードも交えているので、気楽にお金のことを勉強したい人にお薦めです。100項目あるので、辞書的なものとして一家に一冊、置いていただければ幸いです。
【ドジャースと12人の侍 日本人選手を受け入れ続ける名門球団の足跡/AKI猪瀬著】
ドジャースは野茂英雄さんから始まり、今は3人の選手(大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希)が所属する名門球団。なぜ多くの日本人選手が活躍(過去12選手)しているのかを検証しようとしたのが契機でした。
最近のドジャースを知りたい方は序章「大谷翔平狂想曲」、第1章「2024年の大谷翔平フィーバー」を読んでいただければ。大谷選手を契機に「ドジャースってどんなチーム?」と思った方のためには第2、3、4、5章で球団の歴史や過去の日本人選手などについて書かれており、MLBが10倍楽しめる内容になっています。この一冊を読んでもらえれば「ドジャース通」になれますし、ドジャースを語れるようになると思います。
【右腕を失った野球人/佐野慈紀著】
元近鉄バファローズの投手で、昨年に糖尿病で右腕を切断した佐野慈紀さんが書かれた本です。テーマはシリアスですが、明るい人柄ですので暗さはありません。先月に大竹まことさんのラジオに出演した際も「笑っていいのか、悲しんでいいのか、難しい本だけど引き込まれる」とおっしゃってくれました。
序章で昨年右腕を切断した話から始まり、そこから過去を振り返っています。第1章ではアマからプロの野球人生、2章以降は糖尿病発症からの闘病記。終章では家を出た家族と(借金裁判になった盟友の)野茂さんへの懺悔を赤裸々につづっています。
リアルな描写ですが糖尿病の怖さを世に伝え、病気と闘っている人を励ます内容となっています。佐野さんは少年野球の大会のシニアディレクターを務めており、昨年12月の学童軟式野球全国大会の始球式では「左投げのピッカリ投法」を披露しました。
現在はリハビリ中ですが、今年12月の神宮でも始球式をやりたいと復活を目指している。今でも「野球人」なので、このタイトルにしました。右腕を失っても永遠に「野球人」であろうとする姿勢は読む人の胸を打つと思います。

















