川崎市聖マリアンナ医科大学病院動物介在療法2代目勤務犬モリスと2人の看護師ハンドラーの竹田志津代さん、大泉奈々さんがつづる癒やしと奇跡の物語「モリス、私を抱きしめて」(青志社)が21日、刊行された。
聖マリアンナ医科大学病院は、2015年に日本で初めて、動物介在療法を採用した大学病院として知られる。動物介在療法は、患者の症状や背景に沿って立てられた治療計画を、動物の力を借りて患者の情緒の安定や闘病意欲の向上を図っていくための補助的な治療方法。単に動物と患者との交流やアニマルセラピーにとどまるものではなく、病院に入院している患者さんのリハビリや緩和ケア、手術室への付き添いなど多岐にわたる。
そこで4歳から8歳まで働いたスタンダード・プードルのモリス(10=雄)は、真っ白でくるくる巻いたフワフワの毛で全身を覆われた、体重が20キロを超える大型犬。モリスが勤務犬として、無機質な病院という場所で活動することによって、一つひとつコミュニケーションの中に、優しさが溢れるようになった。
犬というと季節の変わり目にたくさんの毛が抜けるイメージがあるが、スタンダード・プードルはほとんど毛は抜けないし、匂いも少ないことから病院での活動には最適な犬種になるという。
竹田さんは「犬は言葉を話せません。でも、耳がいいのです。人間の言葉を理解できている部分もありますが、未知数です。実際は耳だけでなく、全身で相手を感じ理解していると思います。だから、患者さんの中には、私たち医療者よりも、犬に対しての方が遠慮しないで話すことができ、感情をあらわにすることができるという人もいらっしゃいます」と語る。
2023年5月23日にモリスの〝引退式〟が行われた際には、200人を超える職員と患者が駆け付けたという。
「本書には、モリスが起こした小さな物語がちりばめられています。感動的か奇跡的かどうかは、正直、私たちには分かりません。ここでお伝えするのは、あくまで私たちから見えた出来事であり、患者さんの捉え方は、また違うかもしれません。しかし、動物が持つ『人を好き』『関わりたい』という純粋な力が、心にどれほど深く届くかということを、少しでも感じていただけたら幸いです」と竹田さん。
また、大泉さんは「ハンドラーとしての役目を終えた今、私の心に深く残っているのは、心身ともに厳しい状況の中にあった患者さんがおっしゃった『モリスに会うと3倍の楽しみがある。幸福感が続くの』という力強い言葉です。衝撃を受けました」と話している。












