まさに弱り目にたたり目だ。ノアの前GHCヘビー級王者・清宮海斗(26)が28日、米国行きを急きょキャンセルした。世界最大プロレス団体の米「WWE」の2023年名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」入りした、武藤敬司(60)の付け人としてセレモニーに同行する予定だったが、脳振とうの症状があるため、大事を取っての措置となった。不測の事態とはいえ、団体内からは厳しい声も上がっている。

 化身のグレート・ムタでWWE殿堂入りした武藤は、31日(日本時間4月1日)にロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで行われる殿堂入りセレモニーに出席するため、28日に渡米。だが、出発の羽田空港に現れた武藤の車いすを押していたのは稲村愛輝だった。当初は志願した清宮が付け人として武藤に同行する予定だったが、どこにも姿は見えない。

 ノアを統括するサイバーファイトの武田有弘取締役は険しい表情を浮かべながら「清宮に脳振とうの症状があるためです。症状がある場合、48時間以内はトレーナーと連絡がつくようにするというルールがある。今のままで長時間のフライトはよくないと判断し、もともと清宮と一緒に武藤さんに同行する予定だった稲村だけが行くことになりました」と説明した。

 前夜の青森・八戸大会で清宮は、イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.のワグナードライバーを食らいピンフォール負け。試合後はしばらく動けず、トレーナーがリングに駆けつけていた。

 清宮の志願を快く受け入れていた武藤は「こればかりはしょうがねえよな。また次の機会があるよ。デリケートな部分だから、安静にしたほうがいいよ」と気遣う。

 もはや清宮のことより、滞在中の生活に気持ちが向いている様子で「試合じゃないから至ってリラックスしてるし、半分以上バケーションだよ。ここ(空港)に向かうときに(WWE所属の)イケメン(二郎)から電話があって『30日、メシごっちゃんです』って。(中邑)真輔から、俺と真輔が食事をする約束があるのを聞いたみたいでさ。まあ、俺もWWEの環境下に入るのは初めてだからな。何が何だか、わかんねえよ」と笑顔で語った。

 一方で武田氏は、今回の〝ドタキャン騒動〟を重く見ている。「こればかりは運、不運もあるし、相手が強かったというのもあるけど…」と前置きしながら「米国のことで頭がいっぱいで、どこかで気が抜けていた部分があったのでは?と言われてもおかしくないですよ。せっかくの機会だったんだから。これから団体の顔になっていく人間なんだから、一つひとつのチャンスを大切にしてほしい」と言い、いつになく厳しい口調だった。

 新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカ、そしてジェイク・リーとのGHC戦で敗れ、どん底にいる清宮。再起プランもまさかの白紙となった。