医療ライター・熊本美加氏が、男性更年期について、女性目線で優しく解説する春の新企画。2回目は…。

 今や中高年男性の6人に1人がかかるといわれる更年期障害。これは男性ホルモン=テストステロンの減少によって現れる、女性の更年期障害と似たような心身の不調や症状を指します。逆に考えれば6人に5人は上手に更年期を乗り越えているわけです! もし、あなたが心身ともに不調に襲われたとしても、テストステロン低下を早期に察知できれば、早めに手を打つことができます。

 男性更年期は、正式には「加齢性腺機能低下症=LOH症候群」といいます。代表的な男性ホルモンであるテストステロンは精巣(睾丸)で作られます。性欲を高める、筋肉や骨格をつくる、活力を増すなどの働きをしますが、分泌量は20代をピークに徐々に減り、重度のストレスがかかるとさらに低下します。その影響で男性更年期障害が引き起こされるのです。

 ただ、女性には閉経前後の10年という更年期の期間の目安がありますが、男性には閉経がないため、心身の不調の原因がテストステロン低下かどうかわかりにくい。テストステロンが低下する原因は、加齢や強いストレス以外にも、他の病気(がんやメタボや糖尿病など)もありますので、年齢だけで判断できません。もし、あなたが女性の更年期のような不定愁訴に見舞われたら、何をもってして男性更年期障害を疑えばいいのか。

 今回は、男性更年期障害の兆候について、父の外来を引き継いでいる泌尿器科医の田村貴明医師(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科)に、自分用と周りから見た用の簡単なチェックリストをつくってもらいました。

【本人が…】「体調がすぐれず、気持ちが上がらない」「尿が出にくい、あるいは頻尿気味」「寝つきが悪い、睡眠が浅いと感じる、寝汗をかく」「最近、ひげの伸びが悪くなった」「最近、朝勃ちがない」「筋力、握力の低下を感じる」

【周囲から見て…】「ちょっとしたことで、すぐ怒るようになった」「表情に乏しく、笑わなくなった」「ぼーっとしていてミスが目立つようになった」「好きな趣味やスポーツに興味を持たなくなった」「急に付き合いが悪くなった」「腹まわりのポッコリが目立ち、全体的に太ったように見える」

 1つでも当てはまるものがあればイエローカードです。自分では気付かなくても、家族など周囲の人から指摘されたきっかけで受診した方もいらっしゃるそう。

「とにかく気になる症状があれば、がまんせずに男性更年期外来やメンズヘルス外来を受診してください。血液検査でフリーテストステロンを確認するのは、賢い健康管理法の一つといえるかもしれません」(田村医師)

 フリーテストステロンが下がっていても、いきなり筋肉注射というわけではなく、生活習慣指導から始まり、漢方・サプリ・テストステロンクリームなどいろいろな対応策がありますので、恐れることはありません。

 確かに父も男性が医療機関に足を運ばないことをいつも憂いて、「牛に引かれて善光寺参り」、もとい「嫁や娘さんに引かれて病院参り」と啓蒙していました。体調不良のがまんは禁物です!

 ☆くまもと・みか 医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。2019年に山手線内で心肺停止で倒れた経験から、救命救急、高次機能障害、リハビリについても情報発信している。著書に「山手線で心肺停止!アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて」。