「男性医学の父」の娘であり、更年期関連の取材を続けている医療ライター・熊本美加氏が、男性更年期について、女性目線で優しく、時にはユーモアを交えて説明していく新連載がスタート!

男性医学の父・熊本悦明氏
男性医学の父・熊本悦明氏

【その1 哀しければ哀しいほど、黙り込むもんだね♪】

 いえ、黙ってちゃダメです! この連載は、男の更年期の不調や元気ホルモンであるテストステロンのエトセトラをひもとき、みなさんの“死ぬまで元気”を応援していきます。担当するのは医療ライターの熊本美加です。女の私が、なぜメンズヘルス?と思われたかもしれません。理由は、「男性医学の父」と呼ばれた泌尿器科医の熊本悦明が私の父でもあり、長年仕事を手伝ってきたからです。

 父は1979年の日本医学総会で、「男にも女性と同じような更年期がある」と講演した人物。当時は「生理のない男に、更年期なんてありえない」と散々キワモノ扱いされたそうですが、へこむことなく男性医学の研究・臨床を続けました。そのかいがあって、今では「男性更年期」は世間に認知されるようなりました。ですが、昨年5月、92歳で転倒が契機となった硬膜下血腫により急逝。倒れる前夜も私と打ち合わせをしていただけに無念でなりません。ただ、父が死ぬまで現役でいられたのは、70代から始め、生涯継続していた「テストステロン補充」のおかげだと私は確信しています。人間の元気ホルモンと言えるテストステロンのパワーについてはおいおいご紹介していきます。

 その大切なテストステロンが低下することで、男性も女性の更年期と似たような心身の不調に襲われます。ただし女性は50歳前後でガクッと女性ホルモンが減る閉経というわかりやすいサインがありますが、男性は加齢とともにテストステロンはゆるゆる減少する上、個人差がとても大きい。つまり更年期がわかりにくいのが特徴です。

 また、女性が強いストレスを受けると年齢に関係なく生理が乱れたり、止まってしまうことは知られていますが、男性も同じ。多忙な日々で強いストレスがかかると、年齢に関係なくテストステロンが激減し、心身に悪影響を及ぼします。それなのに男性は、不調を感じても、黙り込んで隠して病院に行かない人が多いのです。

「朝起きられない」「疲れが取れない」「仕事に行きたくない」。この3つが典型的な男性更年期のつぶやき。頻繁に口にするようになっていたら要注意。まずはご自分の体を少し気にかけて、医療機関に行ってテストステロン値を測っていただきたい。それが死ぬまで元気に過ごすための第一歩だと私は考えています。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。2019年に山手線内で心肺停止で倒れた経験から、救命救急、高次機能障害、リハビリについても情報発信している。著書に「山手線で心肺停止!アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて」。