歴史を持った昔の道を歩く歴史街道歩きの楽しみは、健康にいいだけでなく知的好奇心も満たしてくれることだ。その歴史街道の中でも、ある意外な道がいま注目されているという。専門家に聞いた。
【江戸城から中原御殿へ――徳川家康も往復した街道】
歩くのは健康にいい。近所の散歩やハイキング、山歩きなどでも有酸素運動であり、肥満解消、心臓強化、生活習慣病予防、ストレス解消などの効果がある。だが単なる散歩では飽きてしまい、続かない人も多い。それが飽きないのが歴史街道歩きである。
歴史街道歩きとは、ただ歩くだけではなく、東海道や中山道などといった歴史的な古道を探勝するウオーキングである。観光史跡があるだけでなく、その道を舞台にいろんな事件が起こり、いろんな歴史的人物も歩いた。そんな道を歩いて歴史的な跡に出会うという目的を持ったウオーキングと言っていい。
数ある歴史街道の中で、いま注目なのが中原街道だ。中原街道は江戸時代、徳川家康によって、東海道の脇往還として整備された街道で、名称は「江戸城から中原御殿へ向かう道」に由来し、江戸城と幕府の中原御殿(神奈川県平塚市)を結んだ約66キロメートルの街道だ。さらに家康の駿府の隠居所との往還路でもあった。
その中原街道を推すのが歴史街道歩きファン向けのウオークマップを出版している風人社・大森誠社長だ。同社は著名な歴史街道だけでなく、大山街道などのウオークマップを手がけてきた。
「地図読みと地形を歩く面白さにひかれて歴史街道ウオークを楽しんできましたが、その面白さを伝える地図が欲しかった。ルート概念図ではない、本格的な地形図を基に旧道を特定して、現地調査で歩いて作ったマップを出版したかったのです」と語る。
中原街道を大森社長が薦めるのは、東海道・中山道の五街道のようなメジャーな街道ではく、歴史街道としては忘れられているが、古代より日本列島の西―東を結ぶ重要ルートの一区間であったからだという。
【身近だがマニアにも自慢できる異色性のある歴史街道】
「街道歩きのファンは、いま大変に増えていますが、中原街道を歩く人はまれなのです」
知名度も低く、前記のように歴史街道と認識している人自体が少ないと指摘する。
「中原街道は、地域の人には、身近な生活道・産業道として、特に車ではよく利用されている地方道です。ですから、この道が歴史街道?と意外に思われるかもしれません」
そうした状況にあるため「中原街道を歩きます」と言えば、さまざまな歴史街道を歩き尽くしているようなマニアックな街道歩きファンからも一目置かれるかもしれない、という。
しかも中原街道は身近である。都内や近県の人にとっては、今日思いついてすぐに歩ける。東海道や中山道のように一念発起の大事業の歴史街道歩きではない。歩くことが好きな人や歴史街道を歩いたことのない人にお薦めの街道である。
では、この街道には実際にどんな魅力があるのだろうか。次回はその点を尋ねる。













