埼玉県は、日本の五街道のひとつ中山道が中心を通っている県で、江戸と地方を結ぶ通過地点でした。これといった特色を持たない農業県で、すべてが江戸(東京)を向いて発展してきたといえるでしょう。

 東京に隣接する県はどうしても比較の対象にされがちです。神奈川県は幕末以降、外国との通商が許された貿易港・横浜という拠点ができて近代的なイメージが付加されましたが、千葉県や埼玉県はこれといった“華”がなく、その比較によって結果的にイメージが低くなり、これが現代にまでつながっています。

 しかし「ダサイたま」と呼ばれる埼玉県出身であることを逆手にとって有名人になった人もたくさんいます。タレントの所ジョージなど、最初から「俺はダサいよ、どこが悪い!」というように開き直っていましたが、ダサさを超越しているといえそうです。

 おとなしい面もあり、やや覇気がないように見えますから、いざ付き合おうと思っても、きっかけがつかめないかもしれません。クールなのか、自己顕示欲が希薄なのか、とにかく「あえて火中の栗は拾わない」といった雰囲気があります。

 といって、まったく面白みに欠けるタイプかというと、それなりに社交性も備え、流行にも敏感です。

 いつも隣の最先端都市である東京と比較され、その影に隠れるようなポジションを強いられて、必要以上に自分を卑下する習性が身についてしまったのではないでしょうか。

 そういう意味では、付き合ってみると第一印象との違いに驚かされるわけで、いい意味での意外性があるのが埼玉県人といえそうです。

 ◆平川陽一 早稲田大学卒。主に歴史ミステリーの分野で活躍。著書に「世界遺産・封印されたミステリー」「戦争で読む日本の歴史地図」「日本列島 名城の謎」などがある。