中高年の男性に多い不整脈の病気でポピュラーなのは心房細動だという。無症状の人も多く、同病気により心臓の中でできた血栓が脳に飛んでしまうと脳梗塞の原因にもなる。循環器内科医の大山馨子医師に主な症状や原因を教えてもらおう。
――改めて心房細動とはどのような病気ですか
大山医師(以下大山)心臓が元気に動いている状態が正常なのですが、心房細動は読んで字のごとく心臓の心房というところが細かく震えるイメージですね。それによって脈が規則正しく出なくなるんです。
――不整脈の一種なんですね
大山 この不整脈が起きると、心房内に血栓ができてしまいます。血液が心臓から動脈を通って送り出され最初にたどり着く臓器が脳なのですが、心房内に血栓ができてしまうと脳に血栓が飛びやすくなります。血栓が脳に飛ばなかったとしても、違う臓器に飛べばその臓器の血管を詰まらせてしまうのです。その不整脈自体が命に関わるというよりは、不整脈によってできた血栓が他の臓器に影響を及ぼすということになります。
――初期症状を教えてください
大山 心房細動は時々発作の起きる「発作性心房細動」と心房細動の状態がずっと続く「持続性心房細動」に分けられます。代表的なのは動悸や息切れ、疲れやすい、胸の不快感がするなど。しかし、患者さんの半分くらいの人は無症状だったりします。たいていは自分の脈が飛んでるかどうかは自分では分かりませんよね。でも、不整脈の持続期間が長かったり、脈がすごく早くなったりすると、動悸を感じたりします。無症状の人は健診によって心房細動が見つかるケースが多いですね。
――どのような原因がありますか
大山 統計学的には男性に多く、高血圧、糖尿病、肥満、高尿酸血症やお酒・たばこ、睡眠時無呼吸症候群とも関連があります。また、心臓自体にもともと病気がある人、例えば狭心症や心筋梗塞といった心臓を栄養する血管に病気があったり、弁膜症、心不全があったりすると不整脈は起きやすいです。
――どれくらいの割合の人に起こるのでしょう
大山 男性だと中高年以上だと3~4%、女性は1~2%と言われています。65歳以上になってくると同病気になる確率が上がります。3~4%という割合は高いと思います。100人中3人が心房細動になると考えたら結構多いように感じますね。心臓の不整脈はたくさんありますが、その中でも心房細動は一番ポピュラーなんです。
――主な治療法を教えてください
大山 心房細動の原因となる心臓自体の病気がある場合はまずそちらを治療します。原因疾患がない場合は、心房細動によって起こる脳梗塞やその他臓器に血栓が詰まる塞栓症の予防を行います。心不全がある人、高血圧がある人、75歳以上、糖尿病、過去に脳梗塞をしたことがある人は塞栓症のリスクが高くなるので血液をサラサラにする薬を飲みます。
――なるほど
大山 また、動悸の症状が強い人は心拍数を抑える薬を飲みます。ただ、それは動悸という症状を軽くしたり脳梗塞になるのを予防したりするためのものなので不整脈自体を改善する役割ではありません。不整脈を起こしにくくする薬もありますが、患者さんによっては効かない場合もあるんです。そういった場合は、心臓の中で不整脈を起こす場所を焼却するカテーテル手術(アブレーション手術)を行います。
――予防法
大山 もともと心房細動がある人は誘発因子といわれている精神的ストレスや睡眠不足を解消し、疲労、過度のアルコール摂取を控えることが有効です。他にも、高血圧や糖尿病、肥満など心房細動と関連する原因因子がありますので、それらを予防するために生活習慣を整えることは重要です。
☆おおやま・きょうこ 千葉県出身。循環器内科医として埼玉県内の大学病院に勤務。












