働く人が定期的に受けることが増えたストレスチェックのデータ分析から健康リスクの高い業種が分かったのだが、それに加え、業種別の高ストレス者率も分かったという。専門家の分析を聞いた。 

【健康リスクと高ストレスの関係は?】

 ストレスチェックを受けた人の中に高ストレス者がどれくらいいるのかというデータが高ストレス者率である。60万人を超える2025年の受検者全体のうち13・4%が高ストレス者とされている。

 それを業種別に見ると(図表1)、高ストレス者率が高い業種は「宿泊業・飲食サービス業」「運輸業・郵便業」「製造業」だった。前回紹介した「総合健康リスク」と今回の「高ストレス者率」は両方とも高い業種もあれば、必ずしも一致しない業種もある。

「主に求められる対策が、総合健康リスクが高い業種は業務設計・人員配置・マネジメント改善などが必要ですが、高ストレス者率が高い業種は面談や相談窓口などの個人支援が必要といったように異なってきます。総合健康リスクと高ストレス者率を合わせて分析することで、職場の課題が“職場環境にあるのか”“個人の状態にあるのか”を把握でき、必要な改善施策の明確化ができると考えています」と説明するのは調査結果を分析しているストレスチェック研究所のアナリスト押切愛里さんだ。同研究所はストレスチェックサービスを受託している株式会社ドクタートラストの研究機関である。

 なお高ストレス者率が低い業種は「公務」「不動産業・物品賃貸業」「学術研究・専門技術サービス業」である。これらの業種では業務分担や支援体制が比較的整備されており、働き方の安定性がストレス低減につながっていると見られる。

【「不動産業・物品賃貸業」では改善が進んだ】

 また5年前の20年と比較して高ストレス者率の変化を見ると(図表2)、業種によって改善・悪化の差が大きい。改善幅が比較的大きいのが「不動産業・物品賃貸業」「複合サービス業」などだ。

「不動産業界ではオンライン内見、電子契約、オンライン重要事項説明などデジタル化が普及して、業務が効率化され働き方改善につながった可能性があります。テレワーク導入が進みやすい業種などもストレス軽減につながりやすい可能性があります」と押切さんは分析する。

 逆に悪化しているのが「金融業・保険業」「宿泊業・飲食サービス業」「運輸業・郵便業」などだ。特に「宿泊業・飲食サービス業」は20年から継続してずっとストレス者率が高い状態が続いている。

「宿泊業・飲食サービス業」「運輸業・郵便業」は、厚生労働省の調査でも「人員が不足またはやや不足している」という回答が7割以上を占めており、慢性的な人手不足や不規則な勤務形態などが健康リスクも高くストレス者率も高い状況につながっているものと見られる。

「調査結果を見てストレスが高い業種、低い業種を比較するだけでなく、業務負荷とサポート体制の両面から職場環境を捉えて両面をバランス良く改善していただけると幸いです」(押切さん)

 本調査の分析を参考に、より健全で活力ある職場になってほしいものだ。