第96回選抜高校野球大会でV候補に挙がる大阪桐蔭・西谷浩一監督(54)と創志学園(岡山)の門馬敬治監督(54)が〝同級生頂上決戦〟を誓っている。西谷監督は春夏合わせて22度の出場で優勝8度、門馬監督は東海大相模時代に12度の出場で4度の優勝実績を持つが、これまで〝東西横綱〟の直接対決はなかった。門馬監督が創志学園に移り、再び引き寄せられるように両者が聖地に帰還。別ブロックで雌雄を決するチャンスが到来した両監督の思いを聞いた。

 もともと先に意識したのは西谷監督だった。東海大相模が2000年の選抜大会を制し、テレビで門馬監督の優勝インタビューを見た。「お〝同級生〟なんや、と思った。僕が大阪で勝てずにもんもんとしていた時に門馬の存在を知った」。知り合いを通じて連絡を取るようになり、藤浪晋太郎(現メッツ)が2年生の時(11年)に日帰りで練習試合に神奈川まで出向き、そこから毎年のように行き来して練習試合を続けている。

「あんま褒めるの嫌ですけど、視野が広い。〝同級生〟なら負けたくない、というのがあるんですが、門馬にはない。嫉妬心が全くないんです。勝ったら良かったと思うし、負けたら『ええ!?」と思うし、珍しいですね。僕の中では不思議な存在です」。今大会は常総学院(茨城)の島田監督、山梨学院・吉田監督、京都外大西・上羽監督も同学年だが、門馬監督だけは特別な存在だ。

 練習試合では互いが相手の印象を気兼ねなく話す。「この投手とこの投手が相手ならどっちが嫌か? どう思った!? なんかを最後に聞いて大会に入るようにしてます。〝いいですねえ〟みたいな社交辞令じゃなく、本当の声を聞ける。ヨソの監督にはなかなか聞けない。僕も門馬には〝これはこうじゃないか〟と隠さずに本音で話します」。意見をぶつけ合い、門馬監督の評価をチーム状態のバロメーターとしてきた。

 コロナ禍で選抜大会が中止となった20年夏、交流試合という形で実現した直接対決は4―2で勝利したが、本大会でのマッチアップこそ2人の願い。「いつか辞めるまでに決勝でできたらいいな、と言ってます。今までどちらかが負けるニアミスはあったけど、やってる時は余裕ないですからね。たまたま年が同じなんで仲良くしてるし、刺激になります」

 門馬監督も思いは同じだ。「彼に憧れる部分もあるし、目指すべき人でもある。あれだけ結果を残されているにもかかわらず、変わらない強さがある。立場もあるし、もしかしたら一番大変な監督かもしれないけど、それを見せない。選手を大事にしますよね。イメージというか、思い描く像に持っていけている。悔しいけど、すごい監督です」とリスペクトの思いを込める。

 だが、その一方で「西谷から見たら、こっちはまだまだ。それははっきりしている。だけど〝いつか西谷見てろよ、桐蔭見てろよ〟という気持ちがある」。一昨年に創志学園の監督に就任後も大阪桐蔭と練習試合を行い、実力差を痛感した。「あいつはウチと戦って、創志の力を分かったと思う。でも、そこで終わろうと思っていない。あいつの背中をね。遠くからでもデカイから見えますし(笑い)。あいつに1ミリでも近づきたい」と闘志を駆り立ててくれる存在だ。

 再びめぐって来たチャンスに気持ちが高ぶる。「同じ空間を本気で戦いたい。高校野球の最高の舞台で西谷と同じ空間に立っていたい。交流試合時も期するものがあったけど、みんなが見る中でね。幸せで自分を奮い立たせてくれる。向こうはどう思ってるか知らないけど…」。ともに順調に初戦を突破。最後に顔を突き合わせることができるか。