【韓国・ソウル21日発】「イッペイショック」が波紋を広げている。ドジャース・大谷翔平投手(29)の専属通訳だった水原一平氏(39)が違法賭博に関与したとして電撃解雇された。莫大な借金を返済するため、大谷の口座から最低でも450万ドル(約6億8000万円)を送金したとされる。不明瞭な部分も残されているとはいえ、大谷を襲った人生初の〝金銭スキャンダル〟。その影響は計り知れず、大谷にとって「三重苦」どころか「四重苦」にもなりかねない。

 当地の高尺スカイドームで行われたパドレスとの開幕第2戦に、大谷は「2番・DH」で先発出場。結果は5打数1安打1打点で、両チーム計33安打が飛び交った乱打戦の末にドジャースは11―15で敗れた。

 ただ、その大谷の傍らに相棒の姿は既になかった。この日早朝に米メディアから水原氏の違法なスポーツ賭博に関与した疑惑などが報じられ、球団側は解雇した事実を認めた。大谷が2018年にMLBに移籍して以来、通訳業の枠を超えて歩んできた蜜月関係は唐突に終わりを告げた。

 騒動には不透明な部分も残る。大谷の弁護人は口座から南カリフォルニアにある違法ブックメーカーに資金が流出したとし、水原氏を「巨額の窃盗の疑い」と告発。一方、水原氏は事前の米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューで、借金について大谷に相談し「二度としないなら助けられる」「(大谷が)パソコンにログインし、自分が横で見守る中で分割で送金した」と話したが、すぐさま「(大谷は)ギャンブルについて知らなかった」と前言を撤回した。

 真相にはナゾが残るものの野球ひと筋に生きてきた大谷も、初めてスキャンダルに巻き込まれた格好だ。ア・リーグの球団関係者は「誰からも愛され、クリーンな印象だけだったオオタニだが、イメージダウンは避けられないだろう。特に米国ではマネーについてはシビアだ」と言う。日本でも大谷は金融機関をはじめ化粧品メーカーなど多くの大手企業の広告塔を務め、今年の副収入だけで100億円に迫るとの試算もある。

 さらに、別のMLB関係者は大谷の精神面に及ぼす影響についても言及した。

「オオタニの語学力は年々上達しているとはいえ、イッペイとはテレパシーが通じ合うかのような関係性を保ちつつプライベートも過ごしてきた。極力ストレスを減らし、野球に集中できる環境を整えてきたのはイッペイのおかげでもある。それが開幕直後に環境が変わり、長いシーズンを考えてイチから関係性を築いていくことは簡単なことではないだろう」

 この日の通訳の代役は編成部で選手の育成やデータ分析に携わるウィル・アイアトン氏で、かつて前田健太(タイガース)の通訳も務めた。しかし、一時的な措置で正式な後任は今後選定される見通しだ。

 そして、水原氏の解雇は大谷だけでなく真美子夫人も無関係ではないとみる向きもあり、別のア・リーグ球団のスタッフは「ワイフも米国に来たばかり。イッペイのワイフは数少ない心のよりどころだったはず」と懸念を口にした。

 イメージ悪化に環境の激変、通訳問題、そしてよりどころ――。こう証言したMLB関係者たちは一様に「オオタニは何度もあり得ないことを成し遂げてきた。人並み外れたメンタルで乗り越えられると信じている」と口をそろえたが…。

 騒動の渦中にいる大谷本人は試合後に「お疲れさまでした」と4回繰り返しただけで、特に対応することなく球場を後にした。〝側近〟が引き起こした衝撃の中、果たして大谷は悲願のワールドシリーズ制覇へ到達することができるか。