思わぬ形でノルマが判明した。ソフトバンクの山川穂高内野手(32)が8日のロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)でまたもや豪快な一発を叩き込んだ。

「4番・一塁」で先発出場すると、初回に左中間席中段へ痛烈な先制2ラン。「完璧。(打った瞬間)いったなと思った」。ロッテの開幕投手を務める小島から放った手応え十分のひと振りに、充実感をにじませた。

 今春の対外試合は8戦4発。試合後、小久保監督は山川の量産態勢に「去年のホームラン王(の本数26発を)、前半でクリアしますぐらいのことを言うてるんで、そのくらいのペースで打つでしょ」と明かし、相好を崩した。

 通算218発、本塁打王に輝くこと3度、シーズン最多は47発を誇る。「年間50発」の力は十分あるだけに、背伸びしたわけでも軽口を叩いたわけでもなさそうだ。むしろ、特異な経緯で移籍した大砲の覚悟がうかがえる言葉なのかもしれない。

 オフのFA交渉で、ソフトバンクの口説き文句は「3年優勝から遠ざかっている中で、絶対に優勝したい。戦力になってほしい」だった。昨季中に私生活での女性問題が発覚して世間を騒がせたが、4年総額12億円プラス出来高(推定)という大型契約に球団の〝本気度〟が伝わった。逆風だっただけでなく、FA移籍1年目はより厳しい目を向けられるだけに、自らに高いハードルを課したことは容易に想像できる。

 実際に宮崎での実戦中から「今、ここでどんなに打とうが、僕の場合はシーズンでの結果がすべて。開幕してから先も1日1日の結果なんです」と使命感を常に漂わせていた。この日も2打席で退くと、その足で隣接する室内練習場へ直行。シーズンに向けた万全の調整に余念がなかった。

 小久保監督は4番の座についても「そこでいいんじゃないですか」と初めて言及した。親心もあってか、ここまで山川についてはあえて大風呂敷を広げることはなかった指揮官。それだけに踏み込んだ「ノルマ暴露」「4番言及」は、自覚たっぷりのFA砲に対する信頼の証しと言えそうだ。