阪神は8日のヤクルト戦(甲子園)に5―6で逆転負けを喫し、オープン戦開幕から続く連敗は7まで伸びた。前川右京外野手(20)の守乱からビッグイニングを献上し、定位置奪取へ何よりも必要な課題を改めて露呈してしまった格好だ。開幕まで残り3週間。野手オーダーで唯一の空席となっている「6番・左翼」を巡る岡田彰布監督(66)のジレンマは続く。

 5点リードの楽勝モードから暗転したのは、8回二死一塁の場面だった。相手打者・増田が右翼ファウルゾーンへ打ち上げた飛球を右翼手の前川が落球。筒井外野守備走塁コーチも「落下点へ入ることを急ぎすぎ」としたミスがきっかけとなり、3アウトチェンジが霧散し、たちまち魔物にのみ込まれた。

 抜群の制球力を誇る桐敷が2者連続で四球を与え、気づけば満塁に。小幡、森下らも失策を連発し、あっという間に6失点。それでも左腕は「自責点0」という違和感ばかりが残る結果となった。このイニングの全ての責任を前川だけに押しつけるのは酷な話だ。だが、弱点とする外野守備を克服しない限り、定位置の獲得はまだまだ先になってしまう。

 岡田監督は指揮官就任直後の2022年秋から、前川の打撃センスを高く評価。「守備の方は多少は大目に見てやるわ」と寛大な姿勢も示し、今春キャンプの野手MVPに選出するほど目をかけてきた。開幕左翼の最有力候補とみなされてきたノイジーは右ヒジを痛めたこともあり、春の実戦で十分なアピールができないまま。前川には大きなチャンスが到来している。

前川らと正左翼手のポジションを争うノイジー(中)
前川らと正左翼手のポジションを争うノイジー(中)

 だが、状況に応じた的確なフィールディングと無類の鉄砲肩を誇るノイジーが、外野守備面で前川を大きくリードしていることは事実。まだ20歳と将来性あふれる前川がレギュラーの一角に食い込めれば、虎の未来はより盤石なものになるだろう。百戦錬磨のリアリスト・岡田監督はどんな決断を下すのか。