【アリゾナ州グレンデール4日(日本時間5日)発】ドジャースの大谷翔平投手(29)の走力強化が日に日に熱を帯びている。2月上旬のキャンプ開始当初から打撃練習以上に取り組んでいるのだ。「2番・DH」で先発出場し、3打数3安打2打点と活躍した3日(同4日)の本拠地でのロッキーズとのオープン戦の試合前もゴムチューブを装着してダッシュを繰り返していた。バットだけではなく、足でも貢献するという意志の表れだ。真剣に「40―40」を狙っているのか――。 

 オープン戦に出場するとは思えない異例の光景だった。3日午前10時40分過ぎにトレーニングスタッフらと姿を見せると、腰にゴムチューブを装着してショートダッシュやスタートの練習を重ねた。いくら、スプリングトレーニング中とはいえ、試合前とは思えないほどだ。結局、およそ20分間、汗を流した。

 昨季所属していたエンゼルス時代では見せなかったこの徹底した走塁へのこだわりはなぜか。大きな要因は足での貢献を重視しているのだろう。昨季の大谷のスプリントスピードの平均は映像解析システムのスタットキャストによると時速約30.5キロでメジャー222位タイだった。2021年は同31.6キロ(同60位タイ)、22年は同31キロ(同136位タイ)と年々落ちている。走力強化、スピードアップは重要なポイントだ。

 大谷は昨季9月に右ヒジを手術。以後、ここまで患部はリハビリ効果もあり順調に回復しているがマウンドに復帰するのは来季以降の見込みだ。打撃に専念する今季はバットだけではなく走塁面も重要。特に出塁した際の盗塁や積極的に一つ先の塁を狙う走塁はチームの勝敗を左右する。

 実際、ロバーツ監督はすでに大谷の盗塁に関し、2月上旬から「試合の状況に応じて盗塁してもいい。チームの武器になるのだから」と明言。「グリーンサイン」を出された大谷は積極的に走るだろう。

 すでに兆候はある。1日(同2日)の本拠地でのガーディアンズとのオープン戦は四球、右前適時打、四球と3度出塁。いずれもリード幅を確認しながら、“隙あらば”と盗塁を狙うそぶりを見せていた。米メディアの一部からは「今季の大谷は投手の負担軽減で盗塁王を狙うのでは」という声も上がっている。日本選手の盗塁王は01年のイチロー(マリナーズ=56盗塁)だけだ。

 もっとも盗塁王を目指すとなればカギは企図数と成功率だ。昨季の大谷は26回走って20盗塁と成功率76.9%だった。昨季、73盗塁でナ・リーグ盗塁王を獲得したブレーブスのロナルド・アクーニャ外野手(26)は87回走って成功率83.9%、2位のダイヤモンドバックスのコービン・キャロル外野手(23)は59回走って54盗塁で実に成功率91.5%だった。

 投打二刀流の大谷の最多企図数は21年の36だが、それを大幅に増やして成功率は85%は欲しいところだ。ちなみに昨季、史上初の「40―70」を達成したアクーニャのスプリントスピードの平均は時速約30.7キロでメジャー188位タイだった。スタートと走塁技術が優れているのだろう。そこを改善すれば史上6人目の「40―40」は視野に入る。さらには史上初の「50―40」も…。

 史上初の投打での規定到達、日本選手初の本塁打王に輝くなど不可能を可能にしてきた大谷。「40―40」の難度は極めて高いが、期待は持てる。今年はバットだけではなく走塁にも大注目だ。