投手力を軸とした守り勝つ野球で5年ぶりのV奪回を目指す西武が、ある仮説を立証しようとしている。
「昨年からボールが飛ばなくなっているのではないか?」
こんな疑念が一軍ばかりでなく二軍、三軍の中でも共有されている。
昨年の西武は、3度の本塁打王経験を持つ主砲・山川の不祥事離脱もあり、チーム本塁打数はリーグワーストの90本で5位に沈んだ。
しかし、リーグ3連覇を果たしたオリックスは、チーム本塁打数はリーグトップながら数字はわずか109本。西武を除いた他の4球団も100~104本の狭いレンジの中でひしめいており、本塁打王は1995年の小久保裕紀(28本=ダイエー)以来、20本台となる26本で3選手(ソフトバンク・近藤、楽天・浅村、ロッテ・ポランコ)が分け合う低空飛行だった。
12球団全体の本塁打数も1160本で、これは22年の前年比で144本減、21年との比較では289本減となっている。
さすがに「飛ばないボール」とやゆされたNPB統一球時代の11年(939本)、12年(881本)ほど極端なギャップではないが「今の投高打低はIT機器の活用により、投手育成が進化していることに加えて、ボールの影響もあると思う」というのが関係者の共通認識だ。
そこで西武は、山川がソフトバンクへFA移籍した攻撃力不足をメジャー通算114本塁打の実績を持つアギラーと同27本塁打のコルデロで補いながら、それ以上に注力したのが投手補強だった。
ドラフトでは3球団が競合した1位の即戦力左腕・武内夏暉(22=国学院大)を松井監督が引き当て支配下7人のうち6人が投手。さらに2位・上田、5位・宮沢、7位・糸川の4人は即戦力で固めた。ここに最速163キロ右腕のアルバート・アブレイユ(28=前ヤンキース)、同159キロ左腕のジェフリー・ヤン(27=前マーリンズ傘下)を補強し、山川の人的補償ではダメ押しで甲斐野を指名。現時点で8~10人の分厚い先発投手陣と複数パターンが組める盤石のブルペン陣で5位からの逆襲を狙う。
その裏には「本塁打数では今年も大きな差はつかない。勝負を分けるのは間違いなく投手力」という球団側の思惑があるからだ。西武の〝飛ばないボール対策〟は奏功するのか。












