【アリゾナ州グレンデール13日(日本時間14日)発】ドジャースの大谷翔平投手(29)が異例の1時間に及ぶ走塁練習を行った。リード幅などをミリ単位で徹底チェックした。まさに「大谷翔平の1ミリ」だ。打撃や守備などの練習を長時間行うのは珍しくないが、走塁だけを徹底練習するのはメジャーでも異例中の異例と言える。打者専念で迎える大谷のチームへの貢献、さらには「40―40(40本塁打―40盗塁)」の偉業達成への意欲が見て取れる。
キャンプ5日目、午前10時過ぎにトレーニングルーム横の屋外芝生エリアに姿を現した大谷はまず50ポンド(約23キロ)のおもりを使った体幹トレやラダーを使ったもも上げ。その後もチューブを使ったトレーニングなどでおよそ30分間、普段通りの調整を行った。
だが、30分後に異例の光景が繰り広げられた。大谷は瞬発力や加速時の強度を測る測定器を自ら装着。アップシューズから真新しい白スパイクに履き替えると徹底した走塁練習が始まった。
まず地面の芝生にメジャーを置き、リード時や帰塁時の歩幅などをチェック。元ブルワーズ、レッドソックス監督で現在ドジャースのGM特別補佐を務めるロン・レネキー氏やマカラフ一塁ベースコーチらが見守る中、「ミリ単位」での確認作業に集中した。リードの取り方やスタートの切り方、体の使い方などを確認していた。才能だけではなく技術も必要ということだ。
結局、大谷の徹底した走塁練習はこの日およそ1時間に及び、練習後は足早に球場を後にした。
なぜこの時期に、あえて「走塁」に時間を費やすのか。背景には打者に専念する大谷の今季にかける思いが見え隠れする。昨年9月に自身2度目となる右ヒジを手術。この影響で今季は打者専念だ。
当然、打者として出塁すれば盗塁や積極的な進塁を求められる。盗塁で一つ先の塁に進んで作戦の幅を広げ、一塁から三塁へ進み、あるいは本塁へ戻ってくれば大きな武器だ。また、右ヒジを保護するためリード後の帰塁時の際などは腕から戻ることを避ける必要がある。ここを乗り越えなければ2021年に自身がエンゼルス時代に記録した自己最多の26盗塁の更新や、周囲から期待される史上6人目の「40―40」の達成は不可能だ。数字を伸ばして、故障を避けるためには今から走塁技術を徹底して学ぶ必要があるのだろう。
レネキーGM特別補佐は「私たちは彼をできる限り効率的に走らせようとしている。それが盗塁だろうと、一塁から三塁、一塁からホームまでの走りだろうと。彼は何事にも熱心に取り組んでおり、今年は投球の部分で取り組む必要がないから、他のことに費やす時間がたくさんある。彼は驚異的なスピードを持っているので、我々はそれをより効率的に利用できるように努めている」と説明した。
盗塁を増やす意欲については「彼が走りたい、盗塁したいと言ったのは知っている。それが30盗塁を意味するのか、50盗塁を意味するのか。ただ彼にとって最も重要なことは、チームが必要としているときにしっかり盗塁できるかだと思う。それは彼も私に言っていた」と明かした。
投げることができないならば打つことに加え、ミリ単位のリード幅や技術の向上で走塁でもチームに貢献する。「打者大谷」のさらなる進化はもう始まっている。
300万円最新機器をも〝破壊〟
○…大谷のトレーニング中にヒヤリとする場面があった。最新機器「1080SPRINT」を使ってトレーニングした際に、腰に付けたコードが外れたようでバランスを崩して転倒したのだ。きれいに1回転して受け身を取ると「大丈夫、大丈夫」と満面の笑み。一瞬、緊張が走ったものの、その表情につられ周囲も爆笑の渦に包まれた。しかし、約300万円の機器を“破壊”したこともあり「(高価な機器を)壊しやがったな」。関係者から冗談交じりに文句を言われる場面も見られた。何はともあれ体に何事もなくて良かった…。












