この春も、ソフトバンクの絶対的主砲・柳田悠岐外野手(35)の存在感が際立っている。宮崎春季キャンプは13日に第3クールが終了。「キャンプ無事故完走」からの「シーズン全試合出場」を掲げる鷹の大砲は、元気いっぱいにフルメニューを消化して、状態の良さをアピールしている。

 もはや調整うんぬんを心配する者などいない。3・29京セラドームでのオリックスとの開幕戦に、その姿があればチームは形となる。積み重ねてきた信頼と実績ゆえに、まさに精神的支柱だ。

 元来、口数が少なく、手柄を主張しない男。柳田らしい自然な振る舞いがチーム内外で注目を集めていた。「柳田がやるから意味がある」と、OBや古株のチーム関係者が口をそろえた出来事があった。今月8日に山川穂高内野手(32)が自身のインスタグラムにアップした食事会の報告。柳田の他に選手会長の周東、山川と同郷でFA戦士の又吉が写った写真が投稿されていた。山川のインスタグラムの投稿は昨年3月以来だった。

 又吉は「ギーさん(柳田)から普通にご飯に誘われて、山川と(周東)佑京も来るからって言われて。山川もキャンプに入って『ファンの方から拍手をもらってメンタル的に助かった』という話をしてましたし、楽しい会でした」と経緯を説明。近藤が体調を崩して招集を見送られたが、深謀遠慮のメンバー構成だった。FA経験者と侍戦士が脇を固める布陣。たとえ柳田自身に他意はなくとも、周囲に与える影響は絶大だった。

 昨年5月に女性スキャンダルで球界を騒がせた山川のFA移籍を巡っては、批判的な意見が今も根強い。好奇の目で見られる中で迎えた球春。チームにどう溶け込み、受け入れられるかは注目点だった。「柳田が音頭を取って開いたメシ会の意義は大きい。チーム内外でそれが何を意味するかは分かるはず」(元OBのチーム関係者)。豊かな人間性ゆえに選手、スタッフから慕われる柳田。昨年2月のキャンプ第1クールに柳田から食事に誘われた近藤は「あれは本当にありがたかった。実際に僕も不安があった中で、チームの話を聞けたりした。(山川を誘って)こないだもやってましたし、伝統的なものも感じました」と述懐し、恩義を感じている。

 今年からキャプテンマークは外れたが、律義な男は鷹のしきたりを後世につないでいる。FA移籍で加わる選手がかねて多い球団。その時々でチームの顔が〝しかるべき時〟に新参者を受け入れる土壌を整備してきた歴史がある。山川と同じく新戦力のウォーカーは「外野手会」に招集。お茶の間には天真爛漫なイメージが定着しているが、チーム内で「これぞ柳田」と称賛される動きをこれまで通りに見せた形だ。

 同じ言葉を掛けるにしても〝誰が言うか〟が大事。ホークスで言えば、それが柳田だ。自然と投じた一手はチーム内で「山川にとっては、最高のお膳立てだった」と受け止められている。