卓球の女子シングルスでパリ五輪代表を確実にした平野美宇(23=木下グループ)は、大舞台で再び旋風を巻き起こすことができるか。

 パリ五輪代表選考レースの最終戦を兼ねた全日本選手権6日目(27日、東京体育館)の準々決勝では、赤江夏星(19=デンソー)に3―4で敗れたが、シングルスでのパリ切符を奪取。「たくさんの方のサポートだったり、自分が逃げなかったから五輪の切符を獲得することができた。今日負けてしまったことはしっかり反省しつつ、少し自分を休ませたい」とホッとした表情を浮かべた。

 平野と言えば「高速卓球」を武器に、2017年アジア選手権で陳夢ら中国の3選手を下して優勝。世界に名をとどろかせた一方で、21年東京五輪は団体戦のみの出場に終わった。「東京の時は本当に苦しくて、卓球から本当に逃げたいって毎日思っていた」。約2年に及んだパリ五輪代表選考レースも初戦は8位と出遅れ、廊下などで大泣きしたこともある。

 どん底を味わった中で「これではダメだと思った。『頑張りが足りなかった』と後から言っても意味がない」と退路を断った。弱い自分にムチを打ち、22年11月の全農カップ船橋大会で優勝。その後もコンスタントに結果を残した。再び心に炎がともった平野の姿には、卓球関係者から「17年の時に少しやりきった感があったけど、東京で苦しい思いをしたからこそ、過去の栄光の重荷がとれたと思う」との声が上がったほど。挑戦者の気持ちを取り戻し、悲願だったシングルスでの五輪チケットを引き寄せた。

 約半年後の大一番は、絶対女王・中国の壁に挑む。メダル獲得を狙う上で「今日のような試合をしていたら勝てないと教えてもらった。負けてからどうするかが一番大事。成長しないとメダルは取れない。『今の自分じゃ取れないぞ!』と喝を入れて、成長することを優先しながら、勝つことを目指したい」と気合十分だ。