【球界こぼれ話】毎年のように物議を醸す「人的補償問題」が球界内にしこりを残している。
今年もソフトバンクにFA移籍した山川穂高内野手の人的補償を巡り年明けから情報が錯綜。最終的に甲斐野央投手の西武移籍が11日に発表されたが、直前にはベテラン左腕・和田毅投手の名が挙がり野球ファンや選手、関係者らを騒然とさせた。
大物選手のFA移籍とともに注目が集まるこの悩ましい人的補償。球界内には「各チームの戦力均衡を考慮すればやむなし」という声もあるが、本当にそうなのか。
確かに有力選手が他球団にFA移籍すれば、送り出す球団は見返りに補償選手を譲り受けたい。ただ、その譲渡には当事者の意思は反映されない。それどころか移籍を拒否すれば当該選手は資格停止処分を課せられる。昨今は球団間の事前調整によるプロテクトリストの形骸化も指摘されるため、悪印象を抱く名称を含め廃止すべきだろう。だが、現実的にはまだクリアすべき問題が残るという。
先日、ある球団の編成担当に聞くと「球団側の事情が大きいですからね」とこう打ち明けてくれた。
「以前から人的補償の廃止に関しては選手会が12球団側に訴えているので、今後の話し合い次第では実現可能です。ただ、選手会側は人的補償の廃止と並行してFA取得年数の短縮も求めている。この状況に球団側は『なぜ一方的に選手側の要望だけを受け入れなければならないのか』と不満を募らせているのです。さらに人的補償を伴う大物FA選手の移籍先は充実した戦力を持つ球団が多い。FA選手を送り出す側にしてみれば有力選手のプロテクト漏れが期待でき、通常のトレードでは手を出せないような選手を獲得できる可能性が高くなるのです。こうした球団側の姿勢やメリットがある限り、人的補償は容易に廃止とはいかないはずです」
ここ数年は多くの球団でポスティングによる主力選手のメジャー移籍を認めている。その際の対価は金銭だけ。米球団からの人的補償はない。であれば、日本球界内のFA移籍でも金銭補償、もしくはメジャーにならいドラフト指名権の譲渡などで問題はないだろう。
時代とともにルールや制度は柔軟な対応が求められる。球界全体の倫理や道徳を問われかねない人的補償という悪習。選手会、12球団は一致団結して早急に解決しなければならない。












