楽天を自由契約となり、6年ぶりに西武へ復帰した炭谷銀仁朗捕手(36)が6日午後に球団施設を訪れた。「練習は明日(7日)からです」と本拠地での自主トレを前にこれからお世話になるロッカー周りの整理整頓、球団関係者へのあいさつを終えると帰路に就いた。

 この2年間で森友哉と山川穂高がFA移籍し、炭谷が前回在籍した2018年の山賊打線は解体。当時の主力メンバーは源田、外崎、栗山、中村を残すのみとなった。何より、今季から宿敵のソフトバンクに移籍した「山川対策」には一日の長のある炭谷のリードには大きな期待がかけられている。

「炭谷vs山川」といえば伝説的な対決も記憶に新しい。22年5月13日の西武―楽天戦(ベルーナ)で滝中―炭谷のバッテリーが、当時2冠王の山川に敢行した3打席連続、12球連続のカーブ攻めだ。

 直前までの山川はまさに覚醒状態。2カードで5本塁打、10打点と大暴れしていたが、100キロ前後のカーブを連投して四球、三振、三ゴロで快音を消した。結果的に楽天サイドは同カードで山川に仕事をさせず、その後の交流戦ではセ・リーグの各球団がこの〝カーブ攻め〟で山川封じにかかっていった。

 超異例の配球はどのように生まれたのか。炭谷本人に聞くと…。

「その前のカードまで山川は絶好調で手のつけられない状態だった。(バッテリーコーチだった)光山さんと『次のカード、山川をどうしようか?』という話をしていて、カード頭で滝中ですよね。(石井)監督に許可を取って『許してもらえるなら、滝中が投げている間は(全球)カーブでいかせてください。打たれるかもしれないですけど、3連戦を考えたら山川は絶対に崩れます。性格上、意地になって打ってくる。仮に打たれたとしても絶対効果はあるので』というお願いをした」

 カーブの使い手・滝中に対しては外角低めに投げるように徹底したといい「全部ここに投げろと。全部ボール球でいい、フォアボールでもいいという指示だった。そうすれば(山川は)意地になって振ってくるから。滝中やからやったんです」と3連戦全体を考えた上での大胆リードだったと明かした。

 その一件もあり、西武ですれ違うように再び〝敵〟となった山川にとって「捕手・炭谷」は意識せざるを得ない厄介な相手になったことだろう。

 これに炭谷は「それは本人に聞いてみないと分からない。バッターなんて狙っていなくても打っちゃうこともある。配球どうこうでなく『今日は(捕手が)銀仁朗か、嫌やな』と思ってくれるのが僕らの理想」と語る。

 西武がホークスを本拠地ベルーナドームに迎える今季初対戦は、4月12日からの3連戦。西武捕手陣も〝絶対に打たれてはいけない打者〟山川を封じるべく、あらゆる知恵を絞り出すことになる。

 もっとも、炭谷は「まあまあ、まずはキャンプでライオンズの投手の把握から始めないといけない。自分の知らない顔のほうが多いわけですから」と話したが…。失った信頼を取り戻しにかかる山川に炭谷の頭脳が再び立ちはだかるかもしれない。