世界のプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル(約1015億円)でドジャース入りした大谷翔平投手(29)に〝ナ・リーグレコード更新〟が期待されている。

 メジャー7年目となる2024年は自身2度目の右ヒジ手術により19年以来、2度目の打者専属シーズンを迎える。期待される大谷の記録については、日本ハム時代の恩師で侍ジャパン前監督の栗山英樹氏(62)は12月のテレビ番組の中で「74本塁打」と仰天予想。その理由について「やっぱり世界一の選手ですから。ボンズ選手を超えてもおかしくない。本当に思っているよりビックリさせることができると僕は信じている。みんなバカげていると思うでしょ? やるんですよ、これが!というふうに思って見てたい」と期待を込めて語っていた。

 エンゼルス最終年だった昨年、44本塁打で日本人初の本塁打王に輝いた大谷のシーズンレコードは、21年シーズンの46本。バリー・ボンズ(ジャイアンツ)が2001年に打ち立てたメジャーのシーズン本塁打記録73本とはまだ27本の開きがある。

 しかし、この記録更新を熱望しているのは栗山氏だけではない。

 多くのMLB関係者、米メディアからも〝大谷のナ・リーグ記録更新〟は支持されている。

 ある西海岸の記者は「22年にアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が記録した62本塁打でアメリカン・リーグは1961年のロジャー・マリスの記録(61本塁打)が61年ぶりに更新された。これにMLB全体が意味を与える祝福をしたのは、ステロイド時代の〝汚れた記録〟を払拭したいという見えざる力が働いていたから」と前置きしながらこう続けた。

「汚れた記録の〝本丸〟であるナショナルリーグ・レコードを塗り替えるのに大谷ほどふさわしい打者はいない。彼は誰もが認める唯一無二のスーパースターであり人間性も優れている。彼に98年から01年にマークされたナ・リーグ記録であり、MLBトップ6の記録をぜひ塗り替えてほしい。大谷がこの記録のトップに立つことを歓迎しないMLB関係者、ファンはいない」

 150年を超えるメジャーの歴史の中でア・リーグ記録の62本塁打を超えるナ・リーグ記録は過去に6度。メジャーのシーズン記録であるボンズの73本(01年)を筆頭にマーク・マグワイア(カージナルス)の70本(98年)、65本(99年)、サミー・ソーサ(カブス)の66本(98年)、64本(01年)、63本(99年)となっている。

 いずれも禁止薬物となっているステロイド全盛期の4年間に作られた〝汚れた記録〟として米メディアの間では「参考記録扱い」とされ、ボンズ(通算762本塁打=歴代1位)、ソーサ(通算609本塁打=歴代9位)、マグワイヤ(通算583本塁打=歴代11位)は、球史に残る偉大な記録を残しながら野球殿堂入りを果たせず、その資格を喪失している。

 この〝ステロイド時代〟に作られた「ぼやけた記録」を大谷に一気に抜き去ってほしいというのが、MLBが内包する新たな願望となっているという。ナ・リーグに移動した大谷がボンズ、マグワイア、ソーサをまとめて抜き去れば、MLBに新たな熱狂を巻き起こすことは間違いない。