新たなスターが誕生するか――。負傷者続出、トップ交代など激動の1年だった女子プロレス「スターダム」で、一躍頭角を現したのが舞華だ。シングルリーグ戦「5★STAR GP」は鈴季すず(21)に惜敗し準優勝に終わったが、年内最終興行(29日、東京・両国国技館)では空位のワールド王座をかけて再び鈴季と対戦する。多くの選手が悲鳴を上げたハードスケジュールをものともしない強靱な精神力、体の強さの根源は何なのか。
――なぜ横浜の赤レンガ倉庫に来たのか
舞華 初めて来たのはスターダムの新木場大会に乱入して、林下詩美に「試合させろ」って言いにいった後。当時のスターダムは今と違って他団体との交流が全くなかったから、スターダムのファンから「お前が詩美と戦う価値はない」とかめちゃくちゃ批判されて。そのアウェー感に圧倒されたのが悔しかった。
――2019年8月3日だ
舞華 それで自分の知らない新しい景色を見たいと思って、気がついたら赤レンガ倉庫に着いてました。福岡にいた時も落ち込むと夜中でも車飛ばして海に行ってたから、海が見たかったんだと思う。それから悩みがあると横浜に足が向く。両国の大事な試合に向けた話はここでしたかった。
――デビューから4年半で団体最高峰王座に王手をかけた
舞華 師匠(TAKAみちのく)からインスタグラムのDMで「レスラーになりませんか」って連絡もらったのが始まり。それから2年たった時に、林下詩美がプロレスデビューしたのが大々的に取り上げられてて、なぜか「先を越された」って思って師匠に連絡した。柔道の先生からは「ダメだ。お前は本当にバカなこと考えてるな」って止められたけど、お母さんは「いいんちゃう? アンタの人生じゃん」って。その月に実業団を辞めて、スーツケース1個持って東京に行った。
――「JUST TAP OUT(JTO)」入団後、師匠からはどんな指導を
舞華 師匠からは1回見本で見せられ、「これやれ」みたいな感じ。「俺は天才だから、見たらできた。ビビってるからできないんだ」って言われて、意味不明すぎますよね…。毎日全身あざだらけになって、もう痛くて痛くて。でも、早くデビューしたいって思ってたから必死だった。
――19年5月のデビュー後も苦難が続いた
舞華 グッズ担当だったから、ネットで注文が入ったらTシャツを積めて郵送したり。それにチケットも手売りして、(稲葉)ともかの料理も作って、車の運転も練習も試合もしないといけないから、ずっと働き詰め。給料は微々たるものでバイトする時間もないから、貯金を切り崩して生活してた。そんな日々も楽しかったけど、自分の心にゆとりはなかったし、師匠に褒められたこともなかった。
――厳しい指導だった
舞華 はい。でも辞めてから、人伝いで「師匠が褒めてたよ」って言われました。師匠とも仲間ともいっぱいケンカした。そのおかげで精神的にも体力的にも強くなった。まあ新人の私がぶちぎれてても許してくれてたから、師匠のそういうところはすごいと思う。他でやったら私、多分ぶん殴られてます。
――21年に、みちのくドライバーⅡを継承した
舞華 スターダムの日本武道館大会(3月3日)のゴッデス防衛戦で初めてあの技を出した。教わるのにJTOの道場に行って、どんな体形の相手でも対応できるようにいろんなタイプの男子レスラーを並べて練習した。最終的に一番大きいのだと184センチ、80キロくらいの選手までは投げた。
――師匠からの助言は
舞華「みちのくドライバーを返されたら死ね」って言われた。タイミングとかを大事に使えって意味。師匠っぽいでしょ? いろんなレスラーがあの技をやるけど、私のが一番だから。
――29日は鈴季とのワールド王者決定戦だ
舞華 人っていっぱい引き出しを持ってれば、柔軟な頭のまんまいけるわけじゃん。だからここまでの苦労は必要だったと思うし、今絶対、赤いベルトを取れる自信につながってる。私の4年半、全てをぶつける。
――雪辱がかかる
舞華 5★STARですずに負けた時にどん底に落ちた。それでも立ち直らせる言葉をくれたファンの人たち、頑張れる気力をくれたメーガン(ベーン)やひめかも陰ながら支えてくれた。赤いベルト取ってみんなに恩返ししたい。師匠も「赤取れよ」って連絡くれたので「弟子がここまで大きくなりました」っていうのは見せたいよね。
【常に上位争い】舞華にとって2023年は飛躍の年となった。5月に盟友のひめかが現役を引退したが、その後はシングルプレーヤーとして活躍。ケガ人が続出した夏のシングルリーグ戦「5★STAR GP」では優勝決定戦に初進出した。結果は準優勝に終わったものの、続く秋のタッグリーグ戦「ゴッデス・オブ・スターダム」を〝大巨人〟メーガン・ベーンとのコンビで初制覇。12月のゴッデス王座新王者決定戦で林下詩美&上谷沙弥に敗れベルトには手が届かなかったが、常に上位争いに絡んだことでファンの期待も一層高まった。ワールド王座の新王者決定戦進出トーナメントを制し、29日の両国大会では同王座の挑戦権利証保持者・鈴季と激突する。
☆まいか 3月24日生まれ。福岡県出身。小学4年から柔道を始め、高校卒業後は実業団で全国大会ベスト8に進出。TAKAみちのくが立ち上げたJUST TAP OUTに入団し、2019年5月7日後楽園大会でデビュー。20年1月にジュリア率いるドンナ・デル・モンドに加入し、同年8月にスターダムに入団。必殺技は炎華落とし(変型サイドバスター)。162センチ、65キロ。













