阪神・青柳晃洋投手(30)が21日に兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、3000万円減の年俸2億1000万円でサイン。順調にいけば国内FA権を取得する来季へ「野球人生において大切な1年になる。(FA権のことは)あまり考えずにキャリアハイの数字を残したい」と意気込んだ。ただ、青柳だけでなく来季は阪神の投打の主力勢が続々と国内FA権を取得する見込みで、編成サイドは正念場となりそうだが――。

 8勝6敗、防御率4・57と不本意な成績に終わった青柳だったが、微減とも呼ぶべき下げ幅に収まった。その背景には、これまでのチームへの多大な貢献も加味されているのだろう。球団から複数年契約の提示は「なかった」と明かした上で「もっとできると思っているし、もっとやらないといけないと思っている。タイガースはいい選手が多いですし、しっかり気合を入れていきたい」と緊張感を漂わせた。

 青柳だけでなく来季は不動の4番・大山、投手陣を巧みにリードした頭脳派捕手の坂本、代打の切り札としてだけでなく若手中心のナインを精神的支柱として鼓舞し続けてきた糸原、原口らが一斉に国内FA権を取得する見込み。黄金時代を築いていく上でも、主力勢の大量流出だけは何としても避けなければならない。

 編成部門にとっても大きな正念場となる。だが、球団内から「2024年FA組」の動向については楽観的な声がチラホラと聞こえてくる。球団関係者が「ウチは出す時はしっかり出すからね」と胸を張ったように、この日で全選手の契約更改を終えて来季の総年俸総額は今季よりも8億円以上の大幅増。38年ぶりとなる日本一に輝いたシーズンにふさわしい〝超暖冬〟となった。

 さらに阪神には過去2年で梅野、岩崎、岩貞、西勇ら投打の主力がFA権を取得した際に、全選手の引き留めに成功した〝実績〟もある。選手たちを納得させるに値する金銭的な条件提示は当然として、岩貞には自身の師匠格でもあったOB・能見篤史氏が着用していた背番号14をプレゼント。粋な演出で物心両面に訴える巧みな手腕で、タテジマ残留へ心をつなぎとめた。また、阪神は今年4月に日本プロ野球選手会が行った契約更改に対する満足度のアンケートでも堂々のトップに立っている。

 来年から新球団社長に就任することが内定したばかりの粟井一夫氏(59=現代表取締役球団副社長)は営業畑の出身。日本一の大フィーバーの中、今季計上した収益について問われると「阪神ファンはすごいパワーだなと。たくさん商売させていただきましたというのが本音」とニンマリ。具体的な金額こそ明言を避けたが「驚くような数字でした」明かした。

 FA選手を引き留めるノウハウも、原資となる札束も今はタンマリと金庫に詰まっている。チームの宝でもある生え抜き選手たちをしっかりつなぎとめ、持続可能な黄金時代を構築したい。

(金額は推定)