冬季五輪の招致を目指す北海道・札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)が窮地に立たされている。国際オリンピック委員会(IOC)は冬季五輪の最優先候補地として、2030年大会はフランス、34年大会はソルトレークシティー(米国)を選定。38年大会はスイスと優先的に対話を進めることが決まり、近い将来での招致実現は不可能となった。

 かねてIOCのトーマス・バッハ会長は30年大会の招致に関する調整を札幌ありきで進めてきたが、21年東京五輪の汚職事件による影響で世論が悪化。最後はトップにそっぽを向かれる形となった。かねて五輪招致に反対の意思を表明しているラグビー元日本代表の平尾剛氏(48=神戸親和大教授)は「IOCと連携が取れていない印象があった。細かい情報を得られていないし、IOCから札幌は見限られたんじゃないかなと思う」と指摘した。

 五輪開催への批判が高まる地域を避けるのは、IOCにとって当然の判断だ。平尾氏は「結局五輪は一時的な感動と引き換えに、多大な開催経費がかかる。開催経費の多くは市民および国民が負担することになるわけで、私たちの生活が長きにわたって削られるのは火を見るよりも明らかだ」と糾弾する。だからこそ「なぜ反対の声がここまで上がっているのかを、しっかり考えるきっかけにしてほしい。そういう意味では大きなチャンスなのでは」と語気を強めた。

 JOCの尾県貢専務理事は「38年以降どうしていくかは、今後札幌市としっかり協議したい」と語っているが、そこまでして開催の道を残す必要はあるのだろうか。