若き侍戦士たちの「見本市」となりそうだ。井端監督率いる侍ジャパンは初陣として「アジアプロ野球チャンピオンシップ」(16日開幕、東京ドーム)に臨む。今大会のメンバー構成は各国とも3人のオーバーエージ枠を除き、1999年生まれ以降の24歳以下、またはプロ入団3年目以内。アジアマーケットを重視するMLB球団にとっても今大会は未来のメジャーリーガーを発掘する重要な機会になる。ネット裏から熱い視線を送る現役メジャースカウトの1人がMLB注目の若侍をピックアップし〝リアル評価〟を打ち明けた。

 今大会で井端ジャパンの最注目株としてMLBからひそかに視線が集まっているのが、今季パ・リーグ2位の25本塁打を放った若き右の大砲・万波中正外野手(23=日本ハム)だ。持ち前の身体能力の高さを生かし、プロ5年目の今季は打撃面で大きく覚醒。141試合に出場し、シーズン終盤には4番に定着した。

 打率2割6分5厘、74打点と他の打撃2部門はまずまずの成績。ただ出塁率3割2分1厘(昨季2割3分7厘)、長打率4割6分7厘(同3割9分2厘)、41四球(同12四球)と3項目の成績は飛躍的にアップしており、打撃面で課題とされていた確実性を大幅に上昇させた。

 守備面でも右翼手として相手走者の進塁を防ぐ強肩を要所で披露。2021年オフに広島からポスティングシステムでカブス入りした鈴木誠也外野手(29)に続く「走攻守3拍子そろう右の外野手」として万波は、MLBのスカウト陣から早くも〝ツバつけ〟される存在となっている。

 今大会でネット裏に陣取るMLBスカウトの1人は万波について「今年は配球とかをちゃんと読めるようになってきたけど、まだ外角のスライダーを追いかけるクセが時折、出ることもある。今大会は相手も万波には、警戒した中で投げてくる。その中で相手の配球にどう対応して、どう捉えるか。当たった時の飛距離はMLBの打者と比べても何ら遜色がない。楽しみな存在」と評する。

 まだまだ粗削りな面が残されているとはいえ、それらのウイークポイントを国際舞台でいかに修正して躍動できるか。同スカウトらMLB関係者の面々は今大会で万波のさらなるジャンプアップに大きな期待を寄せているという。

 万波のようないわゆる「一発長打」のタイプではなく、別のプレースタイルを特徴とする若侍の要注目選手の名前も挙げられた。中日の安打製造機・岡林勇希外野手(21)だ。

 プロ4年目の今季はセ史上最年少となる全試合フルイニング出場を達成。最多安打のタイトルを獲得した昨季に続き、今季もリーグ2位の163安打をマークするなど打撃技術の高さは球界屈指だ。加えて50メートル5秒台後半、遠投120メートルの強肩と外野の守備能力の高さを兼ね備えており、こうした岡林のマルチな能力はMLBでも「魅力」に映っているという。

 その岡林に関して、ナ・リーグ球団に属する別のスカウトは「将来的には青木宣親(ヤクルト)のようになれる可能性がある」と太鼓判を押す。言うまでもなく青木は12年から6シーズン、メジャー7球団を渡り歩いた経歴を持つ燕の大ベテランだ。「岡林はどの投手にも自分の間合いでタイミングを取ることができる。単にコンタクトするだけじゃなく、振り切れる力強さもある」(前出のスカウト)とも指摘し、青木との共通点を力説。しかもそれらは一過性のものではなく、すでに身に付いていると踏んでいるようだ。

 前出スカウトは「実を言えば岡林の(三重・菰野の)高校時代、練習試合で(岩手・大船渡に在籍していた)佐々木朗(ロッテ)と対戦した打席を見たことがある。160キロの剛速球を他の高校生は当てるのに精一杯という状況だったにもかかわらず、岡林だけはただ当てるだけじゃなく実際にタイミングを取って振り切っていた」と明かす。岡林は高校時代からMLB関係者の間でも「類いまれなコンタクト能力の高さ」が目を引いていたようだ。

 逸材がズラリと並ぶU24侍ジャパン。選ばれた戦士たちは自分の価値をMLBに示す絶好の機会となる。