オリックスが「由伸で日本一」をモチベーションにしている。阪神との日本シリーズを1勝1敗のタイへと引き戻し、31日からは敵地・甲子園でのアウェー戦。連続日本一に燃えるチームの面々は初戦(28日)でKOされた絶対エース・山本由伸投手(25)のシリーズ再登板に持ち込む“ドラマチックストーリー”を描いている。30日に3年連続3度目の沢村賞に輝いた無双右腕にとっても、今オフのMLB移籍が確実視されているだけに国内ラスト登板を最高の投球で飾り直したいところだ。 

 見事にリベンジした。エース・山本を先発マウンドに立てながらオリックスは第1戦を0―8で落としたものの第2戦では宮城が好投を見せ、同じスコアの“逆バージョン”で8―0と完勝。31日から阪神ファンで埋まる敵地・甲子園に乗り込むナインの思いは連続日本一しかなく、しかも山本に白星をつけて“有終の美”を飾らせたいと願っている。

 初戦に満を持して登板した山本は、まさかの大乱調で6回途中を自己ワーストタイとなる7失点で降板。打線も相手先発の村上の前にわずか2安打に抑え込まれ、援護できないままなす術なく敗れた。

 山本は今オフにポスティングシステムでのメジャー挑戦が確実視されている。このままなら屈辱のKOを食らった一戦が国内最終登板の“メモリアルゲーム”となってしまう。そうはさせまいと野手陣は「あれだけの投手は日本にはいない。最強のままでメジャーに行ってほしいですよ。なんとかもう1回投げられる展開にして最後にすごい投球をして、それで優勝できれば一番いいでしょ。僕らが頑張らないといけないし、それがチームのためにもなる。これまで何度も助けられてきた」と声をそろえ、気合を入れている。

 山本は今年3月のWBCで侍ジャパンを4大会ぶりの世界一へ導いた後、今季も無双エースとしてフル回転し、9月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)では視察に訪れたヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMの眼前で2年連続のノーヒットノーランを達成。レギュラーシーズンで今季23試合に登板し、16勝6敗、防御率1・21、169奪三振、勝率7割2分7厘の成績を残し、史上初となる3年連続の「投手4冠」も手中に収めた。そして30日には沢村賞にも同じく3年連続で輝き「日本最高峰投手」の評価をほしいままにしている。

 すでにヤンキースやレッドソックス、ドジャース、メッツ、ジャイアンツなど複数のMLB球団が山本の獲得に強い関心を示しているとみられ、米メディアや有識者の間からは「7年2億2600万ドル(約338億円)」と超高額契約を予想する声も飛び交っているほど。海の向こうでも高い評価を集めている山本だからこそ国内ラスト登板も素晴らしい投球で締めくくらせ、心置きなくMLBへ送り出す――。このシナリオがオリックスの面々の総意であることは言うまでもない。

 山本はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(18日・京セラ)でロッテ相手に勝利投手となったものの7回5失点。ポストシーズンでは2戦連続で苦境に陥っているが、野手の中からは「たまに打たれたからって誰も文句は言いませんよ。それだけすごいことをやってきた。みんな大好きだし、先輩にかわいがられている。メジャーでの活躍をみんなが楽しみにしています」とのコメントが向けられており、無双エースへの絶対的信頼は揺るがない。

 山本のシリーズ2度目の先発が濃厚となる第6戦、第7戦まで持ち込めば、日本一連覇の可能性もぐんと高まる。チーム関係者も「それが一番ドラマがありますね。最後を勝っていくのと負けていくのは印象も違う。やはりウチはこの3年間、山本を中心に勝ってきたチーム。このままでは終われないでしょう」と期待する。
 山本にまだ日本シリーズでの勝ち星はない。何とかラスト“無双”を見せたいところだ。