阪神は20日のCSファイナルステージ第3戦の広島戦(甲子園)に4―2で競り勝ち3連勝。アドバンテージを含め、4勝0敗と新井鯉をスイープし、9年ぶり7度目の日本シリーズ進出を決めた。短期決戦でも冴え渡る采配を披露し、盤石の強さを印象づけた岡田彰布監督(65)の手腕に対する評価は秋になっても青天井で上昇中。4手先、5手先を読み通す虎指揮官の〝予言録〟を昨秋の就任直後までさかのぼり、今一度ひもといてみよう――。

 この日も終わってみれば、横綱相撲で広島を撃破し〝引導〟を渡した。鉄壁の守備、下位打線からのチャンスメーク。計7つの四球を選ぶ抜け目のない攻撃。そして盤石のブルペン陣――。4―2のロースコアで決着した一戦には今季のセ界を制した岡田哲学の全てがまさに凝縮されていた。

 試合後の球場にいつまでも響き渡る「オカダ! オカダ!」の大コールの中、テレビインタビューに臨んだ岡田監督は「日本シリーズまであと1週間。もう一つ上のステージで勝ち上がれるように頑張りたい」と笑顔。球団史上2度目となる日本一への思いを力強く口にした。

トラッキーだらけの岡田監督「ヒーローインタビュー」
トラッキーだらけの岡田監督「ヒーローインタビュー」

 大舞台慣れしていない若手選手中心のチームを重厚感あふれるタクトで勝利へ導いた12球団最年長指揮官。豊富な指導者経験に裏打ちされた奥行き豊かな野球観に加え、しばしば自身の趣味でもある将棋に例えられる「先の先まで読み通す」的確な読み筋で143試合を勝ち抜いてきた。

 昨秋の指揮官就任からちょうど1年。多くの野球ファンを魅了し続けてきた「岡田語録」からごく一部ではあるが、虎の知将の〝予知能力〟を改めて振り返ってみよう。

①「木浪があんなに肩が強いとは思わんかったな。新しい発見や」(2022年11月5日、高知・安芸)。就任直後に行われた秋季キャンプでの一コマ。昨季まで二軍でくすぶっていた当時28歳の木浪に注目し遊撃固定を即決した。「恐怖の8番打者」として劇的な復活を遂げた木浪はCSのMVPにも選出。「慧眼(けいがん)」とはまさにこのことですわ。

②「ズルズルいきそうな負けやで」(2023年6月1日、ベルーナ)。19勝5敗と破竹の勢いで5月を駆け抜けたが、交流戦開幕カードの西武戦で2連敗。つながりを欠き始めた打線への危機感を率直に口にした。その危惧は的中し6月は8勝14敗1分けと大苦戦。一時的にではあるが首位の座からも陥落した。こんな予言まで的中させなくてもええのに…。

③「(選手たちが)自分の役割を分かってきたよな。みんながもっといい選手になると思うよ、俺は。このチームはまだまだ強くなるよ」(同年8月27日、東京ドーム)。2―4で巨人戦に敗れた直後の監督囲み。敗戦の後にもかかわらず、充実感にあふれた表情で教え子たちの成長に目を細めた。この言葉通り、9月は破竹の11連勝を記録した。

④「すごい試合ばっかしとるけどな。サヨナラとかこの時期は関係ないやろ。『ちゃんと勝つ』ことが大事なんや。気負うことなくな」(同年9月7日、名古屋駅)。劇的な勝利を積み重ねながら阪神を猛追していた広島との3連戦を前にしても、岡田監督はあくまでも冷静だった。シーズンを通し確立されたチームの戦いを貫く「普通の勝ち方」こそが9月は最も大事であると説いた通りの戦い方で、新井鯉に3連勝し完全に引導を渡した。ホンマに頼もしいわ~。

 ハイレベルな「普通の野球」を虎戦士たちにたたき込み、就任1年目にして球界最高峰の舞台への出場切符を手にした岡田監督。次はどのような〝予言〟が飛び出すのだろうか――。