昨年10月1日に死去したプロレス界のスーパースター・アントニオ猪木さん(享年79)を題材にしたドキュメンタリー映画「アントニオ猪木をさがして」(6日から全国公開)の一周忌先行上映が行われ、同作に出演している新日本プロレスのオカダ・カズチカ(35)、棚橋弘至(46)、海野翔太(26)が舞台挨拶で登場した。

 3人の中で最も猪木さんと関わりが深い棚橋は初対面の時のエピソードを披露。「デビューしたかしてないかの時期の、ビッグマッチの控室ですね。『お疲れさまです』って言ったら笑いながら『疲れてねえよ』って言われて。それで『疲れてない=かっこいい』って受け取ってしまった。時を経て2012年1月4日の東京ドームでオカダが『棚橋さん、お疲れさまでした』って言ってきたので『疲れてねえよ』と(返した)」と、ポリシーとしている「疲れたことがない」の原点を明かした。

 棚橋と言えば2007年に、道場にかけられていた猪木さんのパネルを外したことで知られている。当時は団体創始者と新日本が険悪な関係にあったことから「脱・猪木」を狙っての行動だった。だが現在は再び道場に猪木さんのパネルが飾られている。「外した人間が何を言ってるんだってことなんですけども。海野のように猪木さんを知らない世代がどんどん入門してきて、新日本プロレスの戦いが進んでいく中で、見守ってて欲しいなって。そういう思いに至りましたね」と語った。

 またオカダは晩年の猪木さんと雑誌で対談したり、食事に招かれるなど接点があった。「食事した時も他のOBの方がたくさんいて。『オカダ、こんな話を知ってるか』って言ってくださるんですけど。僕が生まれる前の話なので『すみません、知りません』と言うと『じゃあ長州説明してやれ』って。長州さんもちゃんと説明してくれるんですよ。もう(緊張で)何言ってたのか覚えてないですよ。長州さんが何言ってるのか聞き取れないんじゃなくて、申し訳なさ過ぎて」と笑いながら当時を振り返った。

 交流が生まれる発端となったのは2020年2月の札幌大会だ。試合後のリング上で当時まだ新日本と距離があった猪木さんの名前を叫び、話題を呼んだ。「本当に猪木さんに会いたくて。バックステージで出すよりも、お客さんもいるし、配信されてる中で出すことでもっと注目されて、それが猪木さんに届くかなと思って。それが対談という形になったので出して良かったなと」と、猪木さんも説いた「一歩踏み出す勇気」の重要性を再認識した様子だった。

 3選手の中で唯一猪木さんと関わりがなかった海野も今回の映画に出演している。「正直最初オファーいただいた時に『大丈夫かな』って不安要素はありましたね。リング上でお会いしたこともなければ接点もなかったので。でもやっぱり、こういう猪木さんを知らない世代も猪木さんを知るいいチャンスですし。知らない世代代表として、猪木さん、プロレスを広めるいいキッカケだと思いましてオファーを受けさせていただきました」と経緯を説明していた。