今秋ドラフトの目玉と称される佐々木麟太郎内野手(18=花巻東3年)を巡り「剛腕代理人の影」がチラつき始めている。高校通算140発を誇るスラッガーは現在、複数の米大学見学などのために渡米中。NPB各球団からの熱視線とは裏腹に米国留学も視野に入れ始めたが、水面下でMLBの名選手たちを顧客に持つ大物代理人スコット・ボラス氏(70)が早くもアドバイザー役として急接近しているという。ボラス氏、そして父親でもある花巻東・佐々木洋監督(48)が描くそれぞれの「思惑」とは――。

 高校通算140発・佐々木に「第3の選択肢」が急浮上した。米大学留学だ。渡米中にカイル・ライト(ブレーブス)やダンズビー・スワンソン(カブス)ら多くのMLBドラフト1位選手を輩出した米テネシー州ナッシュビルの名門バンダービルト大など複数の米大学、さらにはMLB球団の施設にも直接足を運び、近々に帰国するとみられている。

 10月26日のドラフト会議を経てNPBプロ球団に入るか、もしくは日本国内の大学へ進学するか――。当初、佐々木の進路は二者択一とみられていたが、ここにどうやら米大学進学も「選択肢の一つ」(花巻東に近い関係者)に加わった模様だ。

 10月8~11日に鹿児島で開催される国体出場前に佐々木は電撃渡米。日本球界にも精通するMLB関係者の情報を総合すると「バンダービルト大にササキ側から現地視察の問い合わせが入ったのが9月初旬ごろのこと。『リンタロウ・ササキ』が一体何者なのか分からなかった同大野球部側はMLB球団の関係者、日米の球界事情に詳しい記者らに情報提供を求め奔走していた」という。

 注目すべきは、佐々木の渡米に花巻東OB・菊池雄星投手(32=ブルージェイズ)の代理人としても知られる大物ボラス氏が「アドバイザー役」として関与している点だ。鹿児島国体に向けてチームを離れられない実父の佐々木洋監督に代わって、航空券手配を含めた渡米手続きや現地の視察先などもボラス氏の事務所関係者がアテンドしたとされている。

 ちなみにボラス氏と佐々木監督は、かねて「昵懇(じっこん)の間柄」ともっぱらだ。両者の間にはボラス氏が花巻東出身の菊池と代理人契約を締結しているだけでなく、同じく同校OBの大谷翔平投手(29=エンゼルス)に対して2012年オフに日本ハムからMLB移籍を目指す際に再三にわたってアプローチを図っていた経緯がある。

 今回の「アドバイザー役」を通じてボラス氏が佐々木と将来的に代理人契約を結ぼうともくろんでいるのは間違いない。「留学生」として米大学へ佐々木が進学すれば、MLBドラフト指名対象外の国に在籍するアマチュア選手として毎年7月のエントリー期限までに「インターナショナル・アマチュアFA」の対象となる。米大学進学後の成長次第ではNPBを経ず“飛び級”で夢のMLB入りを果たす可能性も膨らむだけに佐々木本人だけでなく、今後正式に代理人契約を結べばボラス氏側にもメリットが生まれる。

 とはいえ今回、佐々木が渡米した背景に関して花巻東の周辺からは「現時点では今秋のNPBドラフトで意中外の球団から指名を受けた場合の『第3の選択肢』作りのための渡米であることに変わりはないようだ」とうがった見方が向けられているのも事実だ。

 いずれにせよ進路については10月12日のプロ志望届提出期限、その2週間後のドラフト当日まで予断を許さない流れとなるのは必至。果たして未完の大器・佐々木はどのような決断を下すのだろうか。